今回は前回からの続きで、コミュニケーションを効果的に行うための8ステップの最後になる「コミュニケーションの効果測定」についてです。これまでの内容は、以下をご覧ください。
1「市場の理解とターゲットオーディエンスの明確化」(プロモーションその7)
4 「コミュニケーション・チャネルの選択」(プロモーションその9)
5 「コミュニケーション予算の決定」(プロモーションその10)
6 「コミュニケーションミックスの選択と予算配分」(プロモーションその11)
7「コミュニケーションの効果測定」(プロモーションその12)
8「コミュニケーションの評価」(続き)
ケビン・レーン・ケラーは、コミュニケーションプログラムが効果的に統合されているか否か、IMCが機能しているかどうかを評価するには、以下の6つの基準を用いて判断するのがよいと『戦略的ブランドマネジメント』の中で述べています。(IMC、Integrated Marketing Communications/統合型マーケティング)
カバレッジ: コミュニケーションがターゲットオーディエンスに対して、どれくらい到達しているのか、その範囲や割合を指すものがカバレッジです。高いカバレッジは、より多くの対象に届いていることを表します。
貢献度: マーケティングコミュニケーションが、他のコミュニケーションの露出を受けていない消費者から、望ましい反応とコミュニケーション効果を引き出す力のことを、ケラーは貢献度としています。
共通性: 異なるコミュニケーション手段によって伝達される共通の情報が、コミュニケーション手段どおしで、どれくらい同じ意味を共有しているのかを示すもので、属性の共有ともいわれています。幾つものコミュニケーション手段が、どれだけ共通の連想を強化しているか、どれだけ容易に連想されるかなど、ブランドイメージの一貫性とまとまりを表すものとして重要な基準です。
補完性: コミュニケーションは、複数の手段と連携させて使うことで、効果が高まる場合が多いといわれています。補完性または相互補完性とは、異なる連想と関連性が、コミュニケーションを横断して強まる度合いのことを指しています。
バーサティリティ(多用途性): コミュニケーション手段が異なる消費者集団のいずれに対しても、効果的に伝えられるかということを表します。ある集団は、すでに当該ブランドに対して別のコミュニケーション手段で接したことがある一方で、別の集団はそもそも当該ブランドに関するコミュニケーション手段に接したことがない、そういった場合でも両方の集団に対して、コミュニケーションがうまく作用することを、バーサティリティが強いといいます。
コスト: 各コミュニケーション手段に要する費用のことで、各手段を比較検討します。
マーケティングコミュニケーションを判定する時は、たとえば、縦軸に各コミュニケーション手段(大分類として、広告、SP、PR、人的販売、ダイレクトマーケティング)、横軸に6つの基準(カバレッジ、貢献度、共通性、補完性、バーサティリティ、コスト)をおき、最も良いものを星3つ、次を2つ、適切でないものを1つといったように一覧化します。但し、大分類の広告だけでは判定できないため、テレビ、ラジオ、ニュースサイト、SNS、グーグル検索エンジン、新聞、雑誌、チラシといったように、手段は細分化していく必要があります。
この判定は、実際にコミュニケーションプログラムを実行する前に、各手段を評価し、優先順位付けを行います。リソースは有限ですから、事前に行うことが当然です。また、各コミュニケーション手段には、それぞれに仮説をおいて検討してきているはずですから、その確認の意味で必要でしょう。
評価については、上記6つの基準を適用し、コミュニケーションの目的達成に向けて、それぞれの有効性を予め判断しておきます。注意事項として、貢献度と補完性には固有の違いがあるとは限らないこと。各手段はそれなりにコストがかかることなどをケラーは挙げています。
優先順位付けについては、担当者の判定そのものが(どのようなやり方をしても)主観的にならざるをえないため、複数人による協議制で決めていくのがよい場合もあるでしょう。コミュニケーションの目的が明確であればあるほど、優先順位は適切に行われることになります。但し、ケラーは共通性と補完性、バーサティリティと補完性については、それぞれの関係がトレードオフになることがあるとしています。
このように、様々な手段があるコミュニケーションの優先順位付けを、IMCの観点で、6つの基準を用いてモレなくダブリなく行うこと自体、本来、少々無理がありますので、そこは完璧を求めず、判定していくというのが現実的だろうと思います。