2/27/2022

論理的思考(2) 論理的思考とは①

論理的思考(ロジカルシンキング)を用いるうえで大事なことは、はじめに「事実」、次に「論理」、その後に「結論」、このながれを崩さないようにすることだといえます。「感情」は、結論を出したあと(相手に結論を言うか、言わないかは別)です。或いは、この感情の部分で最終の判断をする、そういうイメージで捉えるべきです。というのも、このようにしないと、論理的であることが成立しないからです。

ところが、しばらく前から、世の中の風潮は、はじめに感情が来て、その後、一気に結論、決定になることが多いように感じます。人間ですから、感情があるのは当然、時にはエモーショナルなものが先走ることも少なくないはずです。ですが、常に感情が先行していると、正しい判断や、そもそものところで正しいものの見方などできるはずがありません。不幸なことに、こういった感情的で歪んだ考え方やものの見方、ひいては行動に支配されてしまっている組織があります。しかも、それが名の通った会社で、長い歴史を有していれば尚更で、そこで働く人の気持ちに思いを馳せれば、悲しくなります。

筆者が論理的思考は極めて重要で、ビジネスパーソンにとって必須のものと腹落ちした背景には、上記のようなことがありました。とはいえ、組織は人で構成されていますから、何でもかんでも論理的に、または合理的に判断したり、行動することはできません。また、経験を重ねれば、勘がものをいうことはよくありますし、そのほうが正しいことも少なくないと感じます。それでも、最終判断する前に、一度は、論理的に思考することが、健全なビジネスパーソンや組織にとっては前提として必要であり、多様化が叫ばれる今日であれば、当然のことだと信じています。

それでは、論理的に考えるとはどういう意味でしょうか。このブログは論理学を論じているわけではなく、あくまでもビジネス上でのことですので、まずは、あまり難しく考えるのではなく、私たちがおよそ、何か、対象になるものを捉えて考える時、理解しようとする時などに、自然に(無意識に)行っているあのやり方で、思考すればいいのだろうと思います。

たとえば、通勤で朝8時の列車に乗ろうとする時をイメージしてください。まず、何時に起きなければいけないのか、何時に家を出る必要があるのか、といったことを我々は瞬時に考えて、行動にうつします。8時の列車に乗るまでにしなければいけないことを考え、また、列車が時間通りに来なかったり、満員で乗れなかったり、そういうことも想定しながら、時間を(ざっくりかもしれませんが)決めていきます。つまり、対象になるものを構成する、または成立する要素を洗い出しているのです。この洗い出しの行為で、何か重要なことが洩れていたり、重複していたりすると、状況次第では列車に乗れなくなる可能性がでてきます。たとえば、乗車前に切符を買わなければいけないとか(交通系のICカードは持っていないとします)、ハンカチを1枚だけ持っていくとして、新しいハンカチをズボンのポケットに入れたにも関わらず、それを忘れ、また新しいものを出して同じところに入れようとしたり、一度きれいにした歯をうっかりしてもう1回磨いてみたり、といった具合です。

対象がシンプルなものであったり、毎日繰り返しているものであれば、洗い出しはさして難しくありませんが、複雑になってくると、そうは簡単にいきません。漏れていたり、重複してしまいます。

少し考えてみましょう。たとえば、人間を性別で分けるとすれば、男と女に区分できます。季節であれば春夏秋冬、水であれば水素と酸素、G7なら日本・米国・ドイツ・イギリス、フランス・イタリア・カナダです。

それでは、交通機関を挙げてみましょう。①電車、②バス、③タクシー、④列車、⑤飛行機、⑥公共交通機関、⑦自転車、⑧高級な車。このうち、どれが交通機関に該当するでしょうか?答えは、①②③⑤で、④⑥⑦⑧は違います。④は①と重複しているため省き、⑥は名称を挙げておらず、⑦⑧は交通機関ではありません。また、⑧の「高級な」というのは、不要な修飾語です。

通勤手段だと、どういったものが挙げられるでしょうか。少し考えてみて下さい。

いつもより少し長くなりましたので、今回はこれで終わることにします。
(電車、バス、自家用車、タクシー、自転車、バイク、徒歩、飛行機、フェリーなど)

2/22/2022

論理的思考(1) 必須のスキル

ビジネスパーソン、特に管理職ともなれば、日々、意思決定に迫られています。上級管理職であれば、尚更です。正しい決定のためには、的確な状況分析と判断が欠かせず、このためには論理的思考、所謂ロジカルシンキングが前提として必要になります。

そもそも管理職の仕事は問題を解決することであり、職場は問題を解決する場といえます。中でも、上級管理職がすべきことは「決める」ことであり、計画を立てたり、実行することは、部下に委任できますし、また、そうすべきでしょう。

ところで、この論理的思考はどうも苦手という方が一定数はいらっしゃいます。何から始めたらいいのか、どこから手をつけたらいいのか、よく分からない。書店にはズラリと関連本が並んでいますが、どの本が自分に合うのか、どれがより適切なのか、ますますわからなくなってしまう・・・。挙句の果てに、ずっと理解できずにいる自分を、責めたり、過度に悩んで自信を失ってしまっている方にも出会ったことがあります。

何故、そうなるのか。それは、おそらくやり方(習得の仕方)が良くないか、そもそも学ぶ先(書籍含めた教え手)がご自身に合っていないか(書籍の中身が間違っていることもあります)のどちらかである可能性が非常に高いからだと思います。時間を少しかけ、じっくり腰を据えて取り組めば(いつも職場で使っていれば)、必ず身につきます。

論理的思考は、たとえば次のような場面で威力を発揮します。日々の業務で分析や判断を的確に行わなければいけない時、問題を検討して課題を特定する時、問題の原因となる要素を洗い出したり、論点を整理する時、自身の考えを述べ相手の理解や同意を得たい時、等々。

次回は、「問題を見つける」という行為をとおして、論理的思考を考えたいと思います。このブログが、論理的思考習得の端緒になれば幸いです。


2/20/2022

管理職が直面する4つの壁を乗り越える。(1)4つの壁

通常、管理職は事業や組織の改革や変革を推進し、自部門のみならず、会社全体を活性化させ、たゆまぬ成長へつなげていくことが期待されています。とはいえ、大きな役割と責任、時には広範な権限が委譲されながら、今日、管理職を取り巻く環境はさらに一段と厳しいものになっています

働き方改革による就労時間や仕事のすすめ方などの制約、担当組織内でのジェネレーションギャップ、一人当りの職務の数や複雑さの増大等々に加え、現在のリモートワーク環境、コロナによる組織の改廃や人員の削減など、いよいよ来るところまで来たような感があります。

これまでのやり方が通用しないばかりか、考え方や行動の仕方そのものを変えなければならず、少し大袈裟かもしれませんが、退路を断たれた感さえあると感じている管理職の方もおられるのではないでしょうか。

今回のブログでは、こういった状況下にある管理職が、環境変化に適応していくうえで、克服していかなければならないものを4つの壁にたとえ、それぞれの特徴と、管理職(特に上級管理職)が乗り越えるためのポイントについて、考えてみたいと思います。

では、管理職にとっての壁には、どういったものがあるのでしょうか。筆者は、次のように考えます。

まず、何よりはじめに、1理解の壁が、管理職の前に立ちはだかります。これをうまく突破できたとしても(これが案外難しいのですが)、

次に、2共感」の壁。

その後、自分ごととして捉えられるかといった、3主体性の壁。

最後に、そもそも、4行動するか・できるかといった壁へと続いていく。

最初の理解の壁をいかに打破するか。ここでつまずくと、後が面倒ですし、何よりここで止まってしまい、対象事案に対する取り組みや、上司と部下などの望ましい関係が築けない、或いは修復できない可能性が高くなる。そうならないようにするためには、まずは、論旨を正しく掴み、伝えることができるかどうかが、鍵になります。

人は思い込み勘違い、或いははじめから決めつけたり、独りよがりになってしまいがちです。このため、問題や対象を正しく見ない、または見ようとはしないことが当たり前のようにあります。もっと言えば、信じたいものだけを信じたり、見たくないものは見ないようにすると言えるでしょう。曰く、「(今までこのやり方でやってきたから)これでいい」、「問題はこれに決まっている」とか「それは問題ではない」等々。事実、事案や、取り巻く環境に、正面から向き合おうとしない(または、向き合い方がそもそも分からないことも含め)といったことが、原因として挙げられます。

理解の壁には、こういった思い込みや勘違い、決めつけなどといったタイプのもの以外に、思考の停止や、責任の回避といったものがあります。このような理解の壁に、管理職が如何に向き合い、越えていくべきか。次回のブログでは、これらが発生する原因と対処策を、考えていきたいと思います。


2/17/2022

今、何をすべきか。電気料金②

電気料金削減の説明をお客様企業にする際、必ずといっていいほど、以下のようなリアクションがあります。たとえば、

  • 現行地域電力会社と、しっかり交渉しているから、これ以上、安くなるはずがない。
  • 数年前に、やり尽くしたから、これ以上は下がらないだろう。
  • 長いつきあいのうちの会社が交渉しているんだから、一番安い価格に決まっている。
  • 電気の質が落ちるから、安くなるんじゃないのか。
  • 電力会社を切り替えたら、停電が増えないのか。
  • 切り替えた先(新しい電力会社)で、発電など不具合・トラブルが生じるのではないか。
  • トラブルが発生した時、ちゃんと対応してもらえるのか。対応が遅れるのではないか。
  • 切り替えた先の電力会社が、倒産したらどうなるのか。
  • 切り替えに伴い、大きな工事は発生するだろう。
  • 大手電力会社から切り替えたら、二度と元に戻せないんじゃないか。仮に戻せたとしても、不利な契約にならないのか、等々。

一般的にこれらは全て、杞憂であり、錯覚です。電気料金は変動しています。また、新しい電力会社を、正しく選択する限り、電気やサービスの質が低下することはありません。一つひとつに細かく回答していくと、紙数が足りなくなるため、ここでは控えますが、電力会社を新しいところに変えても(つまり何処の電力会社から電気を購入したとしても)、電気を送るのは一般送配電事業者が行っているため、切り替え前と何ら変わることがないとだけ、ここでは記載しておきます。(ご質問等がありましたら、info@truerisep.comまでお送りください。)

ここまで読んで頂いて、「そんなことは分かっている」とか、「うちでは料金削減交渉を徹底的にやっているから、これ以上の削減はもう出来ないんだ」と仰る方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。

ちょっと待ってください。本当に、徹底してやっていますか?

こんなことを書いたらお叱りを受けるかもしれません。実際、筆者も事業会社出身ですから、辞めずに続けていたら、同じような感情を抱いたかもしれません。それでも敢えてお聞きします。

  • 他社がどのような取り組みをしているか、ご存知ですか? 
  • 今、市場でどの電力会社が頑張っているのか、知っていますか?
  • 只今、何処の電源の口が空いているか、掴んでいますか?

こういったことは、ふつう知りようもないはずです。

21年の秋くらいから、電気料金は上昇し続けています。通常、何処の事業会社にとっても厳しい状況が続いているものと推察しますが、それでも、成果をしっかり出している会社があります。

今のような時期に、所謂ピンチをチャンスに変えられる会社こそが、他社より先んじて成果を獲得し、成功を収められると確信しています。次回は、電力需要家にとって、常識とされていた料金削減に関する思い込みや盲点などについて、触れてみたいと思います。


2/16/2022

今、何をすべきか (1)支出額の大きなコストを削減する。電気料金①

多くの企業にとって、新型コロナの影響が続くなか、売上や利益を継続的に向上させることは困難です。ましてや、モノの値段が上がり続けている状況下では尚更です。

営業利益を増やすには、売上を上げるか、コストを下げるかしかありません。前者は現実的にありうるでしょうが、通常、事前の仕込みが必要で、すぐには難しい。一方、後者は、やり方次第で短期間に大きな効果が見込めます。

そのコスト削減どう捉えたら分かりやすいのでしょうか。

筆者は、3つの視点で検討することが効果的だと考えます。
    ①モノの支払い価格を減らす。
    ②モノの支出量を減らす。
    ③より賢明に働く。
(不要なモノをなくしたり、徹底したコスト管理意識を組織に植え付けるなど)。

③は働く人の意識や働き方を変えるなど、時間がかかります。②については、よほど大きな無駄がない限り、購買品目をしらみつぶしにあたり、つぶしていく必要があり、即効性を欠きます。

一方、①については、購買品目の品質を落とすことなく実現できれば、相応の効果が短期間で見込める上、品目の支出額が大きければ、効果は絶大です。

売上高に占める割合で、大きなコストに電気料金があります。企業や業種によって異なりますが、割合が大きな企業では、驚くことに10%くらいにはなります。

全ての企業が消費する電力は、2016年の市場全面自由化以降、価格は下がり続け、21年の春先あたりに、ほぼ底値をついたと言われています。ただ、エネルギー価格の高騰や、需給逼迫などにより、昨秋から価格は上昇を続け、未だ収まる気配がありません。

それでは、今、上がり続ける電気料金をおさえる、または下げることはできないのかというと、やり方次第で可能です。

加えて、今後、国を挙げての脱炭素化への取り組みの加速が明白である以上、電気料金は高止まりする可能性も否定できず、結果的に企業の利益を圧迫します。今一度、必ず消費する電気の中身、料金とその設定条件を見直すことが重要です。

ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...