通常、管理職は事業や組織の改革や変革を推進し、自部門のみならず、会社全体を活性化させ、たゆまぬ成長へつなげていくことが期待されています。とはいえ、大きな役割と責任、時には広範な権限が委譲されながら、今日、管理職を取り巻く環境はさらに一段と厳しいものになっています。
働き方改革による就労時間や仕事のすすめ方などの制約、担当組織内でのジェネレーションギャップ、一人当りの職務の数や複雑さの増大等々に加え、現在のリモートワーク環境、コロナによる組織の改廃や人員の削減など、いよいよ来るところまで来たような感があります。
これまでのやり方が通用しないばかりか、考え方や行動の仕方そのものを変えなければならず、少し大袈裟かもしれませんが、退路を断たれた感さえあると感じている管理職の方もおられるのではないでしょうか。
今回のブログでは、こういった状況下にある管理職が、環境変化に適応していくうえで、克服していかなければならないものを4つの壁にたとえ、それぞれの特徴と、管理職(特に上級管理職)が乗り越えるためのポイントについて、考えてみたいと思います。
では、管理職にとっての壁には、どういったものがあるのでしょうか。筆者は、次のように考えます。
まず、何よりはじめに、1「理解」の壁が、管理職の前に立ちはだかります。これをうまく突破できたとしても(これが案外難しいのですが)、
次に、2「共感」の壁。
その後、自分ごととして捉えられるかといった、3「主体性」の壁。
最後に、そもそも、4「行動」するか・できるかといった壁へと続いていく。
最初の理解の壁をいかに打破するか。ここでつまずくと、後が面倒ですし、何よりここで止まってしまい、対象事案に対する取り組みや、上司と部下などの望ましい関係が築けない、或いは修復できない可能性が高くなる。そうならないようにするためには、まずは、論旨を正しく掴み、伝えることができるかどうかが、鍵になります。
人は思い込みや勘違い、或いははじめから決めつけたり、独りよがりになってしまいがちです。このため、問題や対象を正しく見ない、または見ようとはしないことが当たり前のようにあります。もっと言えば、信じたいものだけを信じたり、見たくないものは見ないようにすると言えるでしょう。曰く、「(今までこのやり方でやってきたから)これでいい」、「問題はこれに決まっている」とか「それは問題ではない」等々。事実、事案や、取り巻く環境に、正面から向き合おうとしない(または、向き合い方がそもそも分からないことも含め)といったことが、原因として挙げられます。
理解の壁には、こういった思い込みや勘違い、決めつけなどといったタイプのもの以外に、思考の停止や、責任の回避といったものがあります。このような理解の壁に、管理職が如何に向き合い、越えていくべきか。次回のブログでは、これらが発生する原因と対処策を、考えていきたいと思います。