10/01/2022

営業力強化 (1)はじめに その2

随分前の話になりますが、ある大手小売業のIT部門責任者の方がこう仰られました。SI(システム導入)について「こちらから連絡をする前にすでに来ているのがNEC、連絡したら来るのが富士通、連絡しても来ないのがIBM」。ことの真偽はともなく、筆者もそのイメージ感は共有可能です。

これを持って、NECは良く、IBMが駄目というのではありません。同じサービスを提供していたとしても、会社によって、やり方、また、当該お客様企業への向き合い方は異なります。(とはいえ、昔?のNECが凄いのは事実ですが。)

ただ、問題は、各社がこれを意識して、やっているかということです。おそらく上記3社は、意図的にこれをやっていると理解しておいて問題ないと筆者は思っていますが、世の中には、何もわからず、結果的にそうなってしまっている個人や企業が、意外にもかなり多いと感じています。業界によっては、トップ企業群(リーダー企業またはリーダー的企業の一団)に属する会社であってもそうですから、かなり驚かされます。コロナ過では、それが、簡単に見えるようになってしまいました・・・。

見方を変えれば、それだけ業界や産業におけるポジショニングが重要といえなくもないですが、この変化激しい環境下では、一度築いたポジショニングがそう長く続くことはありません。

筆者は、デジタルの時代こそ、営業の時代だと思っています。営業力を強化することこそ、今、企業が取組むべき最優先課題と言いきっても差し支えないのではないでしょうか。

営業力強化は、他の取組みと異なり、かなりの時間を要します。各社各様ばかりでなく、各人各様な一方で、営業の成否こそが、企業業績の良し悪し、時には企業イメージ全体に対する実際の評判を決定づけることもあるからです。

特に、B2B企業なら、一般消費者には見えづらいですが、B2C企業、特に高額品を時間をかけて扱う住宅・不動産業界であれば、尚更でしょう。自動車や家電、IT製品であれば、同じB2Cでも、プロダクトやブランドのイメージ、広告宣伝などによって、また、販売店の優劣によって、営業力がそこまで要求されないこともしばしばあると言えるでしょうが、住宅・不動産は、なかなかそういうわけにはいきません。

また、B2Bでも、サービスを扱う業界なら、同様に、お客様企業が考えていることを瞬時に把握し、提案するものに反映させる必要があります。特に、契約形態において、請負をビジネスの中心に据えている会社が、委託や委任のビジネスを取り扱う際などには、細かい注意が必要となります。大手広告代理店が、何故、コンサルティングビジネスをうまくできないのか、原因のひとつはここにあるでしょう。どちらがいい悪いというのではなく、両者の相互理解が少なくとも前提として必要になることに、留意する必要があります。

ほかのブログでも触れたことではありますが、今までと同じやり方で異なる成果を得ようとするのは正気の沙汰ではありません。何故ならば、そんなことはできるはずがないからです。

このような状況下においても、業界や産業を問わず、現状をブレークスルーしていく力となれるのが営業職だと、筆者は思います。営業は体力勝負と心底思っておられる方が、時折、企業の上層部に今でもいらっしゃることには、失望します。ご自身の経験や、成功体験から、そう信じておられるのかもしれませんが、自社を取巻く外部環境のみならず、当然のことながら、営業パーソン自身も変わってきています。

営業の方とお話をしていて、強い愛社精神をお持ちの方に時々出会います。ご自身でいろいろ優れた取組みや試みを実践されている一方で、組織として、どのようにすればいいのか、悩まれているのがはっきり伝わってきます。そういった方々のお役に、このブログがなればとも思っています。


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