10/24/2022

営業力強化 (2)価値ある提案をするために③

ここまでの「営業力強化」の「価値ある提案をするために」では、顧客課題に対する仮説を持つことは前提で、課題(仮説)があって、はじめて落としどころ(相手と自分の間での合意形成)を考えることができる。そのためには、まずは、顧客の課題や現状について、自分ごととして考える。それを癖づける、ルーチン化することだと述べました。

ただ、営業といっても、業種、業界によって様々ですので、ここでは、広告代理店(B2B営業)、ハウスメーカー(B2C営業)、対面販売の小売業(店頭販売のB2C営業)で、ひとまず考えてみたいと思います。

広告代理店は、これまでの収益源であったテレビCMや、イベント企画・集客が、主なものでした。ですが、デジタル化の進展と、コロナ禍での在宅時間の増大などから、近年、相対的にいえば、業績が厳しい状況になっています。大手の電通や博報堂などは、10年以上前から、広告宣伝、ブランディング、販促に加え、デジタルマーケティングやアナリティクスなどを活用した広義のビジネスコンサルティング領域へと、業容を広げています。ただ、大手や準大手、総合系やハウスエージェンシー、ネット系など各社を十羽一絡げに捉えることはできませんが、総じて、当初のプランどおりに、業績が伸びていないところが多いのではないでしょうか。

何故、そうなるのか。理由は幾つか考えられますが、従来の広告宣伝領域などは除き、顧客のビジネス課題を、クライアントの立場で考えることができない(または、できなくなってしまっている)から、クライアントにとっての有用性や実効性などを顧みることなく(同様に、自社にとっての再現可能性を考慮することもなく)、提案・実行しているから、というのが大きな理由ではないかと思います(電通や博報堂がそうだと言っているのではありません。あくまでも相対的にいえば、このようなことが言えるのではと書いていますので、誤解されないようにお願いいたします)。

そもそも広告代理店の営業には、メディア、プランナー、クリエイティブ等の各担当とのプロジェクトマネジメント、チームマネジメント、コミュニケーションマネジメントといったスキルが求められます。ただ、現状は、およそ不十分であるばかりでなく、会社としての教育・育成計画も殆どない。感性が強く求められるようで、実はロジカルなものが非常に要求されている。このため、この2つのバランスをどうとるか。そして、営業パーソン各人にとってキャリアアップをいかにはかっていくかが、会社個人双方にとって、重要な課題になっていると考えます。

なんでも、まずは自分でやらなければいけない。そういったことがどんどん増えて、時間に追われていく。上述のような問題が根底にあるため、自ら考えて、主体的にクライアントに働きかけていくことが難しくなり、結果的に御用聞き化してしまう。或いは、左脳と右脳をうまく組み合わせて顧客課題に向き合うのではなく、勢い、感性的なものに強く依存してしまう。こういったことが多いのではないかと思われます。また、これとは別に?顧客課題のことなど、見向きもしない担当営業も少なからず存在し(理由はともかくとして)、自分のことだけしか考えないようになっていく・・・。

このような環境下では、価値ある提案をすることは、ほぼ不可能といえるのではないでしょうか。少し長くなってきましたので、続きは次回とさせていただきます。


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