10/19/2022

R&Dと組織横断型活動 (1)はじめに①

RとDは、まったく異なる活動であるのはいうまでもありません。Rは研究で拡散的思考で活動をすすめ、Dは開発で収束的な思考で、謂わば着地点を見出すというのは、よく知られるところです。

比較的大きな企業でも、Rが事実上存在せず、DがRも行っているところが少なくありません。現実的で、且つ効率的でよいという捉え方もできますが、業務が一体化してしまっているため、しばしば混乱がみられます。活動のすすめ方、技術的なアプローチや思考法自体が異なるにも関わらず、同じ担当責任者(または同じ担当者)が行っているため、結果的にどっちつかずになってしまうようです。

魔の川死の谷ダーヴィンの海は、はじめが研究と開発の谷間、次が開発と事業化の谷間、最後が事業化と産業化の谷間ですが、このブログでは、如何に魔の川と死の谷を乗り越えていくかについて、マネジメント視点で、できる限り簡潔に触れていきたいと思います。

各企業における研究や開発の大家やベテラン社員の方々というのは、本社管理職や営業サイドからみれば、(失礼ながら)とっつきにくいという印象を与える方が多く、研究は言うに及ばず、開発も象牙の塔になりがちです。実際、研究所や工場勤務が普通でしょうから、尚更コミュニケーションが疎遠になりがちで、これがそもそも最終の製品化や事業化を難しくしてしまっている一因になっているのは明白でしょう。

事業規模の拡大に伴い、組織が縦割り化していくことは多く、自部門の利益を優先させ(部門長であれば、ある意味当たり前のことかもしれません)、所謂、部分最適の寄せ集めとなり、結果的に全体最適どころか、当初企図したとおりに製品が完成せず、関係者全員が不幸なことになるといったことも起こりがちです。

どのようにすればそうならないか、または少なくとも、なりにくいか。古くて、新しいテーマでもありますが、ここは、やはり、第一には、全体の活動を俯瞰して、組織全体として、企業にとって、全体の最適化を考える

第二に、最適化検討のためには、マーケティング思考で、顧客にとってのベネフィットを明確にして、それを拠りどころにする。但し、自社ビジョンやミッションとの整合性が担保されることが前提です。ところで、マーケティング思考という言葉ですが、これはセールス/営業思考でも構わないと思いますが、製品がまだできていないという点において、マーケティング思考という表現にしています。一部、例外もありますが、およそこのような見方でいいのではないでしょうか。

ターゲットカスタマーの嗜好や行動などを読み解き、売れるものを作っていく、または売れるものにしていくのがマーケティング。この定義に従えば、製品/商品(またはサービス)ができあがっていない段階ではマーケティングになります。一方、セールスはできあがったモノを扱う、つまりセールスパーソンが具体的に担当するのは売る行為そのものということになります。マーケティングは今日よりも明日、現在の姿よりもあるべき姿や形を追い求める。営業は、来年よりも今年の売上、明日よりも今日の売上をつくる、あるべきよりも今日を、今週や今月をどうするかを具体的に考え、行動を起こす。どちらが、良いか悪いかの話ではなく、役割の違いです。

第三に、マーケティング思考を埋め込んだ業務機能と組織体を設計し、運用していくこと。その責は、事業部長や、R&D出身のトップ、またはトップに準ずる人が行うこと。

全体最適化を推進するためには、通常は上記3点に尽きるのではと思います。そんなことは分かっている、当たり前じゃないか、問題はどうするかだよという声が一部の方から聞こえてくるようです。これら3点のHowについて、次回以降のこのブログで考えていきたいと思います。



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市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...