7/31/2022

新規事業創出 (6)プロセス③

新規事業創出プロセスの第1フェーズ「事業アイデア創出」の次は、新規事業の計画を立てるプロセス(2「新規事業計画立案」フェーズ)へ進みます。

ここでは、新規事業の計画を作ることに尽き、これを2.1「新規事業計画の策定」としましょう。次に、策定した計画の事業を検証します(2.2「事業検証レビュー」)。この事業検証レビューは、はじめに現場で行い、その後、意思決定者のほうで、再度行うのが適切なやり方だといえます。このフェーズで重要なことは2つあります、ひとつは、新規事業の構想を体系的な計画書としてまとめあげること。もうひとつは、この後の事業検証フェーズで行う、優先して検証すべき課題を明確にしておくことといえます。

第2フェーズを終えたら、最後のフェーズである3「事業検証」になり、3.1「事業検証計画の策定」3.2「事業検証の実行」3.3「事業化レビュー」の3つのステップで構成します。なお、この事業化レビューは、1回限りではなく、数回程度は行うのがふつうでしょう。

新規事業計画策定と事業検証については、このブログ(イノベーションマネジメント/新規事業創出)では、まだ触れていませんので、また、折りをみて、記載することにします。今回は短い記載となりましたが、区切りがいいため、これで終わりにしたいと思います。


7/28/2022

新規事業創出 (6)プロセス②

新規事業創出のプロセスをハイレベルで記載すると、はじめに、事業のアイデアを練り、次に、新規事業計画を作り、最後に、事業を検証する、というながれになり、これらをそれぞれフェーズとして位置付けます。

最初の事業のアイデアを練る(1「事業アイデア創出」フェーズ)については、5つのステップにブレークダウンすることができます。

ここでは、何より、はじめに、新規事業の領域を検討するプロセス(1.1「新規事業領域の選定」)を一番最初に行います。次に、自社戦略などを考慮しながら、思いきった仮説を設定(1.3「戦略仮説の導出」)、その後、仮説に基づき、アイデアを考えていきます(1.4「事業アイデアの創出」)。そして、最後に、アイデアの事業性を判断します(1.5「事業性の評価」)。

このつ4つのステップは現場で行うプロセスで、意思決定者(たとえば事業部長や経営層など)に対しては、1.1と1.3の間に、現場で選んだ新規事業領域に対する判断を行うプロセス(1.2「新規事業領域の決定」)を設けます。このことにより、現場での無用な手戻りやコミュニケーション上の齟齬をはじめ、現場の独断や暴走(?)を未然に回避・防止することに役立つと共に、併せて、早い時点での意思決定者の巻込みが可能となります。

1.1と1.3のプロセスですべきことは、事業の範囲を選定し、戦い方の基本方針を策定することです。以前のこのブログに記載しましたので、詳細は割愛しますが、ここでは、シナリオとビジョンを策定することになります。シナリオは、作成することで事業の対象範囲を決めることにつながります。ビジョンは関係者で依って立つところを明確にする、価値を共有することに直結します。

1.4では、体系的なアイデア創出手法を実践させ、できれば個人プレイに依存しないやり方ができればベストだと思います。ここでのポイントは、思考を拡散させること。1.5では、事業の魅力とリスクを天秤にかけながら評価しますので、思考を収束させることが必要です。


7/24/2022

サーキュラーエコノミー事例③

サーキュラーエコノミー事例1にあるようなマッドジーンズなどのサブスクリプションモデル、PaaS(Product as a Service)は、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルを考えるうえで外せません。

もはや古典的事例になった感さえあるミシュランタイヤの走行距離に応じて、代金を支払う従量課金型の販売。これは元々、モノのサービス化サービスのデジタル化の事例として、よく取り上げられました。かくいう筆者も、「やり方を変える」から「やることを変える」の事例として、ジェットエンジン製造のGEが、予防保全や運航計画最適化の分野へ参入したケースと併せて、以前にご紹介していたものです。

このようなPaaSは、スウェーデンのエレクトロラックスの掃除機を売るのではなく、掃除した面積に課金するサービス。オランダのフィリップス/シグニファイの照明器具を売るのではなく、明るさを売るサービス。レンタルファッションの先駆け的存在、米国のレント・ザ・ランウェイ。ブルームバーグによると約340万人の利用者がいるステランティスの欧州でのカーシェア事業のシェア・ナウなど、様々なものがあります。

(ストランティスは、フランスのグループPSA、イタリアのフィアット、米国のクライスラーによる多国籍自動車メーカー。同社は、ダイムラーベンツとBMWの合弁事業だったシェア・ナウを買収)

レンタルファッションやカーシェアなどは、日本にも幾つかありますが、事業の開始年や、規模の大きさなどの点において、(サービスの良し悪しや必要性の有無などは別にして)欧米のほうが、日本よりはるかに進んでいるといえます。

購入するから借りるへ、モノを消費するからサービスを利用するへ。サーキュラーエコノミーのバリューチェーン(或いはバリューループ、もしくはサプライチェーン)における「利用」では、多くの事例を見ることができます。

ただ、大企業や、当該市場におけるリーダー的存在の企業にとっては、顧客との関係性、構築したビジネスモデル、保有する(または、今後取得しなければならない)データ特性などによって、参入を躊躇することが考えられるため、この点において、スタートアップには、まだまだチャンスがあるといえるでしょう。同じことは、「利用」以外のCEバリューチェーン、たとえば、デザイン、マーケティング、営業、製造、リサイクルといった機能においては、尚更のことだと思います。


7/20/2022

新規事業創出 (6)プロセス①

プロセスとは、以前にも少し触れましたが、アウトプットを創出するために必要な活動の集合体のことをいいます。活動を行うには、インプットが必要となり、このインプット~活動~アウトプットをセットで考えることが、生産性を高めたり、時には大きなブレークスルーを実現することに役立ちます。

プロセスをあるかたまりで捉えると、仕組みや仕掛けとなり、イノベーションを創出する契機になったり、理由にもなるなど、プロセスは非常に重要です。

論理的思考(ロジカルシンキング)に長けている人は、プロセス思考で業務を見たり、見直したりすることが得意だろうと思います。業務活動をどのような単位で括るか、分解するか、各プロセスのレベル感(プロセスの階層・粒度)をどのように捉え、必要に応じて作り変えていくか、仕立て上げていくか、といったことなどは、さほど頭を悩ますことなく(場合によっては、楽勝で?)、できるだろうと思うからです。但し、現場の方にとって有用なものだけでなく、経営から見て分かりやすいこと、理解しやすいことは非常に重要ですので、この点には留意が必要です。

プロセスは、ステージフェーズステップアクティビティプロシージャーなどと、階層で捉えて(括ったり、分解するなどして)、考察します。この場合、ステージはレベル1、フェーズがレベル2、ステップはレベル3、アクティビティはレベル4、そしてプロシージャーはレベル5となり、これがプロセスの最小単位となります。

たとえば、「アイデアの絞り込み」というプロセスがかたまりであったとします。その下には(アイデアの絞り込みの下には)、アイデアの創造、ターゲットの抽出、アイデアのスクリーニング、情報の収集・分析、問題仮説の設定、マーケットのセグメンテーション、消費者ニーズの把握、購買要因の検討、重要購買要因の優先順位付け、などと分散して細かいプロセスがあった場合、或いはインタビューなどで、そういった活動が存在することが分かった場合などは、それぞれの依存関係などを考察し、上記のステップやアクティビティなどの単位でまとめて、整流化していきます。また、「アイデアの絞り込み」が、マーケティング業務の活動に属している場合は、「アイデアの絞り込み」プロセスの階層を、フェーズかステップなどに位置付け、その後、下位のプロセスを展開させていきます。

おそらく企業規模の大小問わず、経営層の方々の多くが、組織能力を強化するためには、プロセスの卓越性とかプロセスの最適化といったことを、リーダーシップの発揮とか、環境変化への適応力、従業員のモチベーションなどとほぼ同程度に、組織上、最も重要な項目の上位に挙げられることだと思います。

新規事業創出の場合、どういったプロセスフロー(プロセスのながれ)になるのかを、次回のブログで簡潔に述べることにします。


7/17/2022

サーキュラーエコノミー事例②

大手企業によるサーキュラーエコノミー(CE、循環経済)の取組みには、どのようなものがあるのでしょうか。サーキュラーエコノミージャパン代表の中石さんの著書「サーキュラーエコノミー」によると、CE先進企業のひとつに、ナイキとアディダスが挙げられています。

ナイキのサステナブルシューズのスペースヒッピーは、20年6月に発売され、大きな反響を呼びました。同社では、工場の床などに落ちている糸くずなどの廃棄物を宇宙ゴミと呼び、これらを使って、シューズを作ったとのことです。米国本社のホームページを見ると、旧作がセール価格になっていましたが、引き続き開発に取組んでいるようです。

アディダスは、フューチャークラフト.ループという100%リサイクル可能なランニングシューズを19年4月に発表し、その後も新作を公開しています。開発・生産工程が非常に革新的とのこと。但し、実際に発売されたのか、同社のホームページなど見ましたが、古い情報しか見当たらず、ベータ版の後は、実際どうなったのかは分からず、また、何分ドイツのことですので(たとえば、ドイツ企業はマーケティングに秀でている)、よくは分からないというのが正直な感想です。それに、100%リサイクル可能というのは、大量の廃棄物を出しているランニングシューズなどでは、画期的といえますが、それでサーキュラーかというと、これまでの定義に従えば、違うことになります。

こういう点でいえば、上記ほどの巨大な企業ではありませんが、イタリアのトップブランドのひとつ、サルバトーレ・フェラガモ、1920年代に靴からビジネスを開始し、素材を無駄にしないで、突出した履き心地とデザイン性を実現させていることが創業当時からよく知られています。

皮革製品でいえば、フランスのルイ・ヴィトン。少し前までなら、日本人なら知らない人がいないくらい有名ですが、ヴィトンのバッグは強くて頑丈(創業の経緯からすれば当然のことですが)、また、世界各地に「クライアントケア&リペア アトリエ」を配置するなどして、永遠に使い続けることができるように考えらえています。ちなみに、ヴィトンは、20年までにライフライクルアセスメントを、製品カテゴリーの33%で実現させています。先駆的ともとれますが、ヴィトンにとっては当たり前のことのように思えますし、また、見方を変えれば、余計なものを使っていないと解釈することもでき、少しかたちをかえたものになるかもしれませが、サーキュラーエコノミーのビジネスモデルを確立していると言っていいのではないかと思います。


7/14/2022

サーキュラーエコノミー事例①

サーキュラーエコノミー(CE、循環経済)の事例で、非常に有名なものに、オランダのデニムメーカー マッド・ジーンズ(MUD Jeans)があります。

2012年に設立されたマッド・ジーンズ社は、デニムから廃棄物を出さないという点において、先述のCE3原則(①廃棄物や汚染を出さずに設計する、②製品と資源を使い続ける、③自然のシステムを再生する)の①と②に合致し、世界から注目されています。

マッド・ジーンズは販売せず、全てサブスクリプションと聞いたような記憶があるのですが、ホームページを見ると、通常の販売も行っています。サブスクのほうは、月額約1400円(€9.95)です。リースであれば、ジーンズが体に合わなくなったり、傷んだり、また、履かないようになると返却します(リースのため、当たり前のことですが)。なお、同社によると、2020年は顧客の40%がリース利用とのことです。

マッド・ジーンズは、自社の使用済ジーンズを回収し、いったん繊維に戻した後、再度、新しいジーンズを作って、次の顧客へ提供するというサーキュラーな仕組みを構築しています。

アパレル産業、なかでもファストファッション系は、工場での労働環境などが非常に過酷とされ、以前から大きな問題になっていました。高級ファッションブランドでさえも、過去に大きな社会騒動になったことがあります。ジーンズも同様でしょう。そういった問題にも向き合い、サーキュラーなビジネスモデルを構築している同社には、今後も注意が必要でしょう。

ところで、日本では、岡山県倉敷市のジャパンブルーの取組みが面白いと思います。92年に会社が設立され、06年に同社初のオリジナルジーンズを発売、21年にはバナナの茎を再利用したバナナデニムを発表しました。収穫を終えたバナナの木は、次の収穫のために、全て伐採し焼却されます。この廃棄に伴うCO2の発生や、焼却せず放置することによる土壌汚染などの問題を少しでも解決することの一助になればという理由から、ジャパンブルー社では、バナナジーンズが生まれたとのことです。

ジャパンブルーのバナナジーンズなどに見られる取組みは、環境配慮、自然保護などの観点から、大いに注目されるべきものでしょう。ただ、CEを厳密に捉えると、サーキュラーにはなっていないため、脱炭素の取組みとしては適例だと思いますが、CEの案件としては、もうひとひねり必要かと思います(但し、CEと合致する必要があればということですが)。


7/11/2022

新規事業創出 (5)意思決定

的確に意思決定するためには、必要な情報が何かをおさえておくことが必要です。それでは、必要な情報が何かということを、どのようにすればわかるのでしょうか。膨大な時間と手間をかけて、とてつもない量の情報を入手したとしても、それを読み解くことに、また新たな膨大な時間がかかることにもなり、まったく意味を成しません。

的確な意思決定を行うために、必要不可欠な情報要件を掴んでおくことが重要ですが、このためにはどうすればいいか。最小限の情報で、最大限の効果を得られるように、時間は有限、非常に貴重です。タイムベース競争などといわれたのは、確か1990年前後あたり、それから40年近く経った今なら尚更です。

筆者は時折、端的に答えを求めたりすることがあります。当社の新規事業は、競争相手には勝てますか? それはどこですか? そこと同じ製品のカテゴリーで勝てますか? それは何故ですか? 技術ではどうですか? 営業ならどうなりますか? もし勝てなければどうするのですか? 或いは、潜在的な競争相手は誰ですか? 予め手を組んでおくことはできますか?、等々。

できる限り簡潔に回答が得られるように、また、可能な限り論理的に分解して順を追って掘り下げていくことが効果的だろうと思います。シンプルな問いに対して、必要な情報だけを収集していく。余計な情報探索や解釈を取り除くことができるはずです。

今日、情報の多くは誰にも入手可能なものになっています。にせの情報が多いのも事実ですが、スナップショット的に見るのでなく、時系列的におさえておくことで、何が本当か、隠されている事実は何か、変化の兆候はといったことに当りをつけることができやすくなります。現在、多くのことに対して、限定的な範囲での専門的な知識や見解よりも、全体を俯瞰して総合的に検討・判断できる力のほうが、優るのではないでしょうか(当然のことながら、専門知識が不要と言っているのではありません。特定分野における一定の専門知識を持ち、且つ総合的に判断できる力が必要という意味になります。一般的なゼネラルマネジメントを称賛しているのでは決してありません)。組織力の秘訣は、こういったところにあるのではと思っています。一見して見えず、わかりづらいもの、だからすぐに模倣されることもなく、熾烈な競争にも勝ち抜けるのではないでしょうか。


7/07/2022

サーキュラーエコノミーとは③

サーキュラーエコノミー(CE、循環経済)で、大きな力を持つエレンマッカーサー財団、2010年にエレンマッカーサー氏が英国を本拠地として設立し、CEへの移行を組織のビジョンとして掲げ、世界から注目されています。この財団が、CEで重要な3つの原則を挙げています。

廃棄物や汚染を出さずに設計する(Design out waste and pollution)

製品と資源を使い続ける(Keep products and materials in use)

自然のシステムを再生する(Regenerate natural systems) 

財団では、企業のCircularity(循環性)を評価するための枠組み(Circulytics)において、上記のいずれか1つ以上に該当し、且つ残りの2つに逆行しなこととしています。また、同財団は、バタフライ・ダイアグラムという概念を2019年に発表しています(The butterfly diagram: visualising the circular economy)。左右で2種類の循環を表し、見た目がバタフライ(蝶)の羽のように見えることから、この名が名付けられたとのことです。

こういった原則や思想が生まれてきた背景には、ゆりかごからゆりかごまで(Cradle to Cradle)という考え方が、ゆりかごから墓場まで(Cradle to Grave)と対比するかたちで、存在しています。

はじめから廃棄物や汚染を出さないで設計することは、これまでのエコの取組みや考え方とは一線を画すものだといえるでしょう。何故なら、これまでのもの(リニアエコノミー)は、廃棄物や汚染を出す、また出ることを前提としてきたからです。技術的な問題が大きく影響はしてきますが、はなから出さないことを前提に真正面から取組むとすると、技術の問題以上に、製品などの思想の問題になってきます。つまり、目指すゴールや、ビジョンが、両者の間では根本的な違いがあるといえます。

製品や資源を使い続けるという点では、まさにこれまでの消費が使い果たしたり、使い尽くして、後は廃棄するものとするのであれば、異なる考え方といえます。ただ、こういう言い方をすれば、少し問題があるかもしれませんが、米国に暮らした筆者の経験からすれば、ものを消費することに対する考え方や、実際の使い方、保管の仕方などは、相対的に、日米で大きな違いがあります。また、欧州でも、たとえばイギリスと、イタリアやフランスとではかなりの違いがあると思いますので、そのあたりのことを分かった上で、取組んだり、何より、対外的に発信していくことが必要だと思います。

3つめの再生・リジェネレイト(Regenerate)については、対象範囲をより広く捉えていく必要があるのだろうと思います。自然のシステムを再生するわけですから、ひとつの企業や団体だけでは自ずと取組みに限界があります。ひとつ以上の業界や、また、ひとつの地方などを対象にしていくことが、より適切なものになるのだろうと思います。


7/04/2022

サーキュラーエコノミーとは②

モノ」から「コト」へと言われて久しいですが、最近は「イミ」消費の時代と言われているようで、イミは広義のコト消費の一部と捉えてよいのだろうと思います。余談ですが、筆者が旧セゾングループの西武百貨店に入社して間もない頃、すでにモノからコトへ、と社内では言われていました。80年代の半ばで、すでにコトを考えていたのですから、今から思えばちょっとした驚きですし、その一方で、消費者の気持ちという点においては、時代はあまり変わっていないのかなとも思ってしまいます。

イミ消費は、東日本大震災以降に現れてきた価値観といえるでしょう。大震災当時は、消費者の価値観が変わる、消費のスタイルや行動が変わると、多くメディアが取り上げていましたし、実際、筆者もそういった主旨の記事を寄稿したことがあります。

そういった点で、イミ消費は、グローバルな経済社会SDGsサステナビリティ気候変動リスク環境配慮保護、更には新型コロナウィルスなどにみられるパンデミックなどが要因となって、その意味をより鮮明にしてきたのではないかと想像するのが自然だろうと思います。

そのイミ消費ですが、当初は、ある商品やサービスを消費することによって生まれる社会貢献的な側面を重視した消費スタイルとされていたようですが、今日では、商品/サービスを提供する企業の価値観や哲学、世界観といったものに、共感できるか否か、強く共感できれば、その商品/サービスを購入したり、利用するといったものに変わってきていると捉えるのが、より適切だろうと思います。

となると、このブログの観点からいえば、何のために循環させるのか、また、脱炭素するのか、何を目指して行うのかといったパーパスが非常に重要になるといえます。マーケティングの言葉に、プロダクトアウトやマーケットインというのがありますが、これがまさにパーパスを媒介にして、アウトとインがつながるというイメージになるといって差し支えないでしょう。

企業や特定の団体などが、特定の人々(ここでは、やはり消費者ということにします)と共に商品やサービスといったプロダクトやブランドを創り上げたり、育んだりする、また、時にはその消費者にエンパワーメントするといったことが、重要なポイントになります。

サーキュラーエコノミー(Circular Economy/CE、循環経済)については、このような観点で考えると、分かりやすく、また、解を導出しやすいのではと思います。


7/01/2022

サーキュラーエコノミーとは①

サーキュラーエコノミー(Circular Economy、略してCE)、日本語では循環経済と呼ばれています。サーキュラーだから循環となりますが、これを従来のリサイクルの延長線上的なものとして捉えるのは不十分で、誤りといっていいのでしょう。つまり、Reduce(排出抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再生利用)の3Rの取組みに留まるものではないのです。

従来の分野では、日本は世界のトップを走ってきました。しかも断トツだったのではないでしょうか。たとえば、ペットボトルでいえば、2019年には、日本のリサイクル率は85.9%(回収率93.1%)、米国は19.7%(同27.9%)、欧州は39.6%(同57.5%)と、その差は一目瞭然です(PETボトルリサイクル推進協議会の日米欧のリサイクル状況比較)。

ゲームのルールを変えることが巧みな欧米、というよりも、そもそも初めに彼らが多くのゲームとそのルールを制定し、その後そのルールを自分たちで変えていくといったほうが適切ではないかと思いますが、その欧米、特に欧州が仕掛けているこのCEに、どう向き合うかは、新規事業または新製品(商品)/サービスの開発を慎重に練る時のように、考察することが必要だと思います。

また、併せてグローバル市民を標榜する必要があるのであれば、消費者としての行動様式も変えていくことが求められるのだろうと思います。世はグローバル時代、いくら日本と日本人(の多く)は常日頃から、ものを大切にし、過度な大量消費・大量生産はしてこなかったと言っても、海外の一企業や個人単位では認められても、グローバルな競争社会では受け入れられることは難しいと思います。相対的に言って、ただでさえ、アピールがうまくない日本企業と日本人が生息するガラパゴス島での振る舞いなど、誰も理解しないでしょう(正確にいえば、腹の中で分かっていたとしても、口ではそう言わない。またはその逆もあり)。それが、海外で暮らした経験のある筆者が感じることで、表と裏があることに留意する必要があります。

ここで、敢えて言いたいことがあります。それは、日本こそ、サーキュラーな社会だったということです。何故、日本が3Rなどに取組んできたかというと、それは元々サーキュラーだったものが、産業の近代化や国際化と共に、本来、循環させていたのを続けていくことが難しくなった。その結果として(または、過程において)、3Rのような活動へとつながっていったと筆者は想像しています。つまり、3Rの前の姿にこそ、我々が考えるべき本来のサーキュラーがあるのであって、そこに着目し、関係者や、世界へ発信していく必要があると思っています。これについては、今後、本ブログで具体的な例を提示しながら、述べていきたいと考えています。

しばらく前より、ブログが少々長いというご意見を頂いています。トピックや構成にもよりますが、次回からはもう少し短くしていきたいと思っています。今回は区切りもよいため、これで終わります


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...