7/14/2022

サーキュラーエコノミー事例①

サーキュラーエコノミー(CE、循環経済)の事例で、非常に有名なものに、オランダのデニムメーカー マッド・ジーンズ(MUD Jeans)があります。

2012年に設立されたマッド・ジーンズ社は、デニムから廃棄物を出さないという点において、先述のCE3原則(①廃棄物や汚染を出さずに設計する、②製品と資源を使い続ける、③自然のシステムを再生する)の①と②に合致し、世界から注目されています。

マッド・ジーンズは販売せず、全てサブスクリプションと聞いたような記憶があるのですが、ホームページを見ると、通常の販売も行っています。サブスクのほうは、月額約1400円(€9.95)です。リースであれば、ジーンズが体に合わなくなったり、傷んだり、また、履かないようになると返却します(リースのため、当たり前のことですが)。なお、同社によると、2020年は顧客の40%がリース利用とのことです。

マッド・ジーンズは、自社の使用済ジーンズを回収し、いったん繊維に戻した後、再度、新しいジーンズを作って、次の顧客へ提供するというサーキュラーな仕組みを構築しています。

アパレル産業、なかでもファストファッション系は、工場での労働環境などが非常に過酷とされ、以前から大きな問題になっていました。高級ファッションブランドでさえも、過去に大きな社会騒動になったことがあります。ジーンズも同様でしょう。そういった問題にも向き合い、サーキュラーなビジネスモデルを構築している同社には、今後も注意が必要でしょう。

ところで、日本では、岡山県倉敷市のジャパンブルーの取組みが面白いと思います。92年に会社が設立され、06年に同社初のオリジナルジーンズを発売、21年にはバナナの茎を再利用したバナナデニムを発表しました。収穫を終えたバナナの木は、次の収穫のために、全て伐採し焼却されます。この廃棄に伴うCO2の発生や、焼却せず放置することによる土壌汚染などの問題を少しでも解決することの一助になればという理由から、ジャパンブルー社では、バナナジーンズが生まれたとのことです。

ジャパンブルーのバナナジーンズなどに見られる取組みは、環境配慮、自然保護などの観点から、大いに注目されるべきものでしょう。ただ、CEを厳密に捉えると、サーキュラーにはなっていないため、脱炭素の取組みとしては適例だと思いますが、CEの案件としては、もうひとひねり必要かと思います(但し、CEと合致する必要があればということですが)。


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