前回の「問題解決力」ブログ(②問題を定義するi)では、問題定義の3つのCについて述べました。今回は、自分自身が所属する組織(または会社)の目線で、問題解決に向き合う時の組織のあり方・姿を考えます。
ここでは形式や建前、体裁や見た目などに捉われることなく、実際の姿、ありのままの本当の姿、組織の実態を考えます。形式と実態については、次のようなものとして捉えてください。たとえば、信賞必罰や実力主義を強く謳っている組織があるとします。ですが、実のところは、努力して成果を挙げた者も、何もしない者も同じように処遇しているとします。この場合は、信賞必罰や実力主義を唱えていることは形式(または建前)であり、やってもやらなくても同じというのが実態です。問題解決に対する組織の向き合い方を考える時は、このような実態ベースで検討、分析することが必要です。
おさえるべき項目は、次のようなものです。
- 改善(または改革、変革などの)案に関する意思決定者と意思決定の仕方
- 意思決定者のバイアス(相手/対象者が自分と同じ現実を見ているとは限りません)
- ステークホルダーの特徴(意思決定とその後の案を実行する時に影響力を持つ人、社内のみならず社外、たとえば主だったサプライヤーや顧客なども対象にします)
- 組織における暗黙のルールやタブー
- 過去の取組みの結果
上記に関する問いには、以下のようなものが挙げられます。
- 当該案の是非と実行時期を決める人は誰か(形式的な承認者ではなく、実質的に判断する人を指します。たとえば、それを部長が行う場合は部長が該当し、常務であれば常務になります)。
- その人はどのように意思決定しているのか(たとえば独裁者的にものごとを決めたり、民主的に多数決で重要事項を決定するとか、或いは周囲の目を気にして判断したり/判断できなかったり、前例のないものについてはとりあえず判断を見送ったりするなど、意思決定の仕方、傾向や特徴を確認します)。
- その意思決定者は、事実をどのように受け止めているか。
- その意思決定者は、自分にとって都合のいいように理解したり、期待してはいないか。
- その意思決定者の過去の経験が、判断の邪魔をしないか。
- 案の是非判断に対して、影響力の大きいステークホルダーは誰か。
- 同、協力をしてもらう必要のあるステークホルダーは誰か。
- 案実行により、影響を強く受けるステークホルダーは誰か。
- 案は、組織内の暗黙のルールに逆らうものか。
- 過去の案(取組み)で、似通ったものはあるか。(あればその結果を、なければ何故なかったのかの理由も確認します)
それぞれの問いに答える時は、「それは何故か」、「つまりどういうことか」など、もう1段階、2段階は掘り下げて考えていくことが重要です。問題を定義するという行為は、定義する人の問題に対する見方や解決方向などに対する考え方に、大きく依存します。同様に、意思決定する人の見方やものの考え方にも、影響を受けることになります。
したがって、問題を解決する人の能力(スキル、知識、姿勢)が極めて重要ということがいえます(ここでいう問題を解決する人というのは、問題とアプローチを考え、問題を解き、結果をまとめて説得する人のことを指しています)。このようなことから、まずはじめに、問題を定義することが必要です。