問題を定義するにあたり、筆者は3つのCで考えることにしています。3つのCとは、Context(コンテキスト)、Criteria(クライテリア)、Constraint(コンストレイント)です。コンテキストは問題の文脈や状況・関係について、クライテリアは問題と考える基準(何をもって問題としているのか)を、コンストレイントは制約条件(インプットを制限したり、活動を制約しているものは何か)を表します。
ここで注意しなければならないことは、いきなりデータ収集には走らないことです。まずは、3つのCについて、仮説ベースで考えていきます。3つのCで活用できるフレームワークは、オーソドックスにいえば、次のようなものになります。
コンテキスト:
- 3C(顧客/Customer、競合他社/Competitor、自社/Company)
- ビジネスシステム(企業内及び企業間におけるビジネスの仕組み)
- 5F(バイヤーの交渉力、サプライヤーの交渉力、新規参入の脅威、代替品の脅威、業界の競争状況)
- 7S(ストラテジー、ストラクチャー、システム、スキル、スタッフ、スタイル、シェアードバリュー)
代表的な問いには、次のようなものが挙げられるでしょう。
- 顧客・競合に対して、当社はどういう状況にあるのか。
- 当社の競争優位は何か。
- 業界のチェンジドライバーは何か。
- 現行組織にはどういったギャップがあるか。
- 当社が直面している最大の問題は何か。
クライテリア:
- 業績(売上、利益、コスト・・・)
- 整合性(ミッション/戦略/価値観等との調和やフィット感、その他イニシアチブとの一貫性など)
- タイミング(イニシアチブの連続性、初期投資の期間、閾値など)
問いの幾つかには、以下のようなものがあります。
- 当社の成功を測る物差しは何か。
- 改善(または改革、変革などの)案は、当社のアイデンティティや今後の方向と、どれくらいフィットするか。
- 改善(同)案が、成果をあげるまでの猶予期間は何週間(または何ヵ月間など)か。
- 改善(同)案は、どういった基準で実行に移されるか(或いは、移されないのか)。
コンストレイント:
- 情報
- 人材
- 組織の単位
- 事業の単位
たとえば、次のような問いがあります。
- 必要なデータや情報は入手可能か。
- 問題解決に必要な能力を、当該組織の人材は有しているか。
- 例外扱いされたり、障害となるような組織はあるか。
- 特例扱いされるような事業や製品/サービス、市場、或いは関係会社などは存在するか。
- 案が実行に移される段階で、制約になるものには何があるか(或いは、最後まで残ることになる最大の制約は何か)。
3つのCを使って、次々と仮説ベースで問題を考えていきます。ひとつの問いに答えたら、その後すぐに、それは何故か、どうしてそういるのか、だから何なのか、といったことを自らに問いかけ、仮説を掘り下げていくことが重要です(問題の掘り下げについては、論理的思考(3) 問題を見つける②をご参照ください。また、問題とアプローチを考える」の「構造化」でも記載予定です)。
そして、次に、自身がとった範囲や立場を踏まえた上で、新たな問いかけをします。それは自身が所属する組織(または会社)の目線で、問題解決に向き合う組織の本当の姿を、確認するものです。これについては、次回の本ブログで述べたいと思います。