12/05/2022

R&Dと組織横断型活動 (3)マーケティング機能①

R&Dと組織横断型活動におけるマーケティング機能とは、該当する領域のプロセス(業務、意思決定/評価)組織に、マーケティングの要素である市場/顧客志向の考え方を組み込むことをいいます。

このためには、はじめに、対象範囲にある活動全体の姿をはっきりと見えるようにすることが前提として必要になります。(全体像の具体的な作成方法については、本ブログの記載する内容や範囲を超えることになりますので、ここでは見送らせていただきますが、R&Dと組織横断型活動(1)はじめに②の後半で少し触れていますので、一度ご参照ください。また、詳しくお知りになりたい方は、info@truerisep.comまでお問合せください。)

全体像が明らかになったら、その全てを同じようにマネジメントするのは、現実的ではありませんので、濃淡をつけて行うことになります。マーケティング思考を取り入れて活動を進めていくわけですから、メリハリをきかせるべきは、顧客が認識できるところ(または、顧客に認識してもらいたいところ)になります。ここでは、R&Dを起点とした活動を対象にしていますので、品質で考える品質がもたらす顧客のベネフィットで考えることが必要であり、それを明確にしていくことが非常に重要となります(R&Dと組織横断活動型活動(1)はじめに③)。

ここでの主たる対象は、3つの品質を考察するプロセス、企画、設計、製造の各品質になります。なかでも、企画品質は活動の出発点になるため、特に重要ですので、関係者全員が理解できる、イメージすることができる言葉で表現することが不可欠です。

企画品質は、コンセプト開発に該当するプロセスの中に位置付けられます。当該プロセスをどのように構成するかは、各企業や担当責任者次第のところはありますが、一般的にいえばおよそ次のようばながれの中で捉えていくべきと考えます。

はじめに市場/顧客のセグメンテーション、次にそのターゲティングと課題仮説の設定、その後、競合の把握と差別化要因の特定、そして明確な顧客ベネフィットの構築、最後は評価と商品化の方向導出となります。この差別化要因の特定とベネフィット構築のところは、行きつ戻りつしながら、顧客にとってのベネフィットを明確にしていくというイメージです。

マーケティング思考で行うわけですから、たとえば、顧客は何を好んで買うのか、技術的な特徴は何か、市場で成功する重要なR&D上の要素は何かといったようなことについて、はっきりさせて記述することが必要です。また、コンセプトを構成する要素ごとに競合商品との比較を行い、各要素別に強みと弱みを明確にすることも重要なタスクとなります。

顧客が何を好んで買うかについては、まず顧客ニーズを分解し、系統図的なものにして、視覚的に分かりやすくするのがよいでしょう。たとえば、顧客ニーズは、機能、経済、環境、情緒/心理などに分類できます。そして、それぞれを更にブレークダウンしていきます。

機能であれば、性能や効能または味覚など、信頼性、操作性や取扱いの良さ、保守性や作業の効率性などにすぐ分けられますし、それぞれをより細かく分けていくことも必要です。経済であれば、商品/サービスのタイプにもよりますが、本体価格以外に、ランニングコスト、ライフサイクルコストなどに区分できます。環境であれば、省エネ、リサイクル、CO2フリー・・・。情緒/心理であれば、快適性、社会的な信用やステータスはじめ、様々なものに分けて捉えることができますし、そもそもその快適性の特性を、種類ごとに分けるだけでも、相当のパターンが考えられます。

要は、顧客がどういったベネフィットを求めているのか。また、どのようなベネフィットを提供したいのか、当社の価値提案は何なのかを突き詰めていくことです。100%正解などというのはありませんから、初期的段階では仮説ベースで作っていくことが、何より重要です。

少し長くなってきましたので、続きは次回とさせていただきます。

ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...