12/01/2022

R&Dと組織横断型活動 (2)マーケティング思考①

企業サイドからマーケティングを定義すると、マーケティングミックス(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの4つのPの組合せ、通称4P)を最適化して、収益、販売量、マーケットシェアの最大化を実現するための組織的な活動全般ということができます。

ですが、今はこれだけでは十分とはいえません。ひとつ間違えれば、顧客を顧みない一方的なプロダクトアウト的な活動になりかねず、受容性の面で大きな課題を残す可能性があります。

デジタルの時代、顧客(消費者、企業)への商品/サービス提供はどのように行うのが適切か。R&D活動を的確に進めていくためには、何をすればよいのか。R&Dにとっての組織横断型活動の肝は何か。

これには、上述のマーケティングミックスの概念に、4Cの考え方を加える(または代替する)ことが、ひとつの答えになるといえるでしょう。4Cとは、Co-creation/共創、Currency/通貨、Communal activation/共同活性化、Conversation/会話、を表しています(フィリップコトラーのマーケティング4.0)。R&Dと組織横断型活動におけるマーケティング思考には、この4Cのエッセンスを取り込みます話をシンプルにするために、ここでは共創について考えてみましょう。

ここでの共創は、後工程と一緒になって創り上げることと同義として捉えます。つまり、研究は比較的早い段階から、開発を巻込んで活動を進めます。研究対象にもよりますが、基本的に研究が単体で、期日をあまり明確にすることなく活動を行うのではなく、研究体制とその期間を明示し、開発を巻込んで評価します。できれば、評価の責任者に開発の責任者も加えるのがよいでしょう。これには、少なくとも1年毎で評価するのは勿論のこと、研究テーマによっては、もう少し短い時間軸で行うべきで、製品化を見据えた研究を行う契機として捉えていきます。

開発の場合は、調達は勿論のこと、開発の初期的段階から生産と営業を巻込んで進めていきます。大事なことは、各部門がそれぞれお互いの領域まで踏み込むようにして、相手のタスクとゴールを理解すること、少なくとも理解するように努めることが必要です。量産試作の前の段階から共同で検討することが、より早く、より確実に製品化(商品化)する素地が整うはずです。

簡単なことのように見えて、異なる部門同士が共同で業務を進めることは、意外と難しい。個人ベースだとうまくいっても、利害が異なる部門同士が共創するには、議論を尽くす必要があるでしょう。どのようにすれば、縦割組織の弊害を未然に防止し、企業としてのゴールを素早く達成できるかは、後工程をケアするマインドが重要であり、独りよがりにならないようにすることが重要です。

バリューチェーンの最後(または最初)には、必ず営業またはマーケティングが控え、最終顧客の声や姿を反映させた見解を、前工程の部門と議論しながら、製品/サービスを仕上げていく。このようなことによって、マーケティング思考全体が整うことになります。


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