12/06/2022

R&Dと組織横断型活動 (3)マーケティング機能②

3つの品質の2つめにあたる設計品質は、企画品質を技術用語で開発資料(設計図や配合/調合書など)に落し込んだ品質、所謂、狙いの品質のことで、機能や性能について書かれたものです。開発における製品仕様の設計プロセスの中に位置付けられます。

ここでは、要素技術を樹形図化して、後工程の製造品質のところで展開しやすいものにしておく必要があるでしょう。また、前工程の企画品質でいうところのものが、設計品質においてどういうものに変換されているのかを、技術の専門家以外でも、理解できるよう平易な言葉で記述すべきです。インプットには、品質情報に関するもの以外に、コンセプトテストの報告書などのような顧客の声が反映されたものがあるのが望ましいといえます。

3つめの製造品質は、出来栄えに関する品質です。設計品質を目標にした製造上の品質、製品品質を指し、製造、生産技術、生産管理、品質管理などが担当します。設計に適合できているかどうかがポイントですが、元々到底製品化が不可能な場合もあるでしょうから、問題の原因が設計品質にあるのか、製造品質にあるのかといったことを見極め、該当するプロセスにおいて行うことが必要です。

ところで、顧客が認識する満足や不満には、どういった特徴があるのでしょうか。顧客満足とは、顧客が知覚できたもの(期待の充足)から、顧客の期待を差し引いたものといえます。

該当する商品のカテゴリーが市場において成熟しているものであれば、新商品に対する顧客の期待値は高くなるのが一般的です。一方で、カテゴリーの成熟度が低いものについては、相対的に期待値もそう高いものにはならない傾向があります。このため、成熟度が高い場合は、顧客が自身の好みにぴったり合っているか否かが重要になってくるため、注意が必要です。

また、顧客満足は、顧客が支払う費用と顧客が得られる価値の合算として捉えることもできます。費用は、活動の最後に発生するのではなく、活動の進行に伴い、費用が実態として積みあがっていくものです。

このような活動の動きに従えば、顧客価値も、最終段階で突然、発生するものとして捉えるべきではありません。アイデア段階から、価値が孵化していくと考えるべきです。その後、その価値はコンセプトで形成され、活動の進行に沿って価値が伝達されていくといえるでしょう。

この考え方に基づけば、部門横断型活動が円滑に進まない場合は、価値の伝達が社内でうまくできず、結果として、社外の顧客にその価値が伝わらなくなる(または伝わりにくくなる)といえます。組織横断型の活動をこのように捉えるならば、組織やその構成員次第で、見方や向き合い方、取組み姿勢、結果を求めてやり抜く態度やスキル、能力全般が変わってきますので、はじめのメンバー編成や、誰を責任者に配置するかといったことが、非常に重要になります。


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