12/01/2022

R&Dと組織横断型活動 (2)マーケティング思考②

後工程との共創以外に、R&Dが活動に着手する前に、その方向づけを他部門と共創することも、非常に効果的です。また、あるべき姿を追求するのであれば、むしろこちらを優先させるべきです(前回に述べた、後工程と一緒になって創り上げていくことは、付随的なものになります)。

方向づけは、R&Dとしての戦略的な意思表明と、勝ちパターンの設定で構成されます。

方向づけには、R&D部門を中心に、調達、生産、営業、マーケティングなど、製品開発とその上市に関わる部門の関係者に参画してもらい、共創できる環境の前提を整えます。必要に応じて、事業部のトップや、企業の経営陣も巻込みます。

戦略的な意思表明では、R&D部門が、研究の誇りであるシーズの具現化に関する考えを述べると共に、ポリシーとしてのあるべき姿を明示することで、関係者に対して、意識と行動の統一をはかるようにしていきます。

言い方を変えれば、責任の所在をあいまいにすることなく、方向づけの場で、戦略的な意思決定と勝ちパターンの設定以降の踏むべきプロセスを明らかにして、売れるか否かを上市前にはっきりとさせるということになります。勿論、上市前に本当に売れるかどうかを100%見極めることは不可能ですが、あいまいさを排除すると共に、万が一にも失敗した場合には、何故うまくいかなかったのかを検証できるようにする意図も含まれます。

勝ちパターンの設定では、連戦連勝できる謂わば勝ち癖のようなもの、勝利の方程式といったものを、関係者全員が理解できる言葉で表したものになります。勝ちパターンには、該当するプロダクトやビジネスのデザインを、端的に記載する必要があります。(新規事業の場合は、Reflectionsのイノベーションマネジメントにおける新規事業創出、事業デザインI事業デザインIIを参照してください。)

R&Dを起点としたデザインでは、勝つためのシーズ/技術ターゲット顧客(または市場)ターゲット顧客のニーズを満たす機能機能を実現するコアプロセス、ならびに顧客のニーズ、以上5点をセットで表記することが重要です。

このように書くと、これは大変だなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、最初の段階でフレームワーク化や、ワークシート化しておくと、2回目以降はそれに沿って検討することで済みます。また、最初の段階では、R&D単体で行うことでも構いませんが、マーケティングや経営/事業企画部門などの協力が得られれば、意外とスムーズにいくのではないかとも思います。ここで大事なことは、100点のシートを目指すのではなく、まずやってみること。60点でもまったく問題はありませんので、とにかくまずは作成に着手し、その後改良を加えながら精度を上げていくことが大事な点になります。

但し、他部門にお任せ、或いは丸投げ的なことにはならないように。マーケティング思考の主旨は、関係者が一同に介して、より優れた商品/サービスを創出していくことですので、これには、まず議論を尽くすことが必要です。本末転倒になっては、元も子もありません。


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