6/21/2022

新規事業創出 (4)戦略⑤

事業デザイン策定の2回目は、3つめのステップ「活動範囲と重点管理項目の設定」になります。

活動範囲は、自社で行う業務の機能を明確にします。もしくは、自社では行わない機能をはっきりさせておくということ。また、できれば特に注力する機能についても検討しておいたほうがいいでしょう(自ずと注力する機能が分かる場合もありますが、そうでない場合はメリハリをつけるという意味でも、誰にもわかるようにしておいたほうがいいと思います)。

併せて、自社製品/サービスを補完する周辺の製品/サービスがすでに存在している場合などは、その周辺製品/サービスを提供している企業と協力関係を築くか。或いは、上市スピードを上げるために他社と共同して開発または生産するのか、その場合は誰と行うのか。実行にあたり、投資は必要か、新たに工場を建設するのか、買収するのか、ライセンス契約を結ぶのかなど。

重点管理項目は、提供価値もさることながら、価値獲得の方法をどのように管理するかを検討します。この段階で、あまり細かいところを考えるのではなく、バリューチェーンを横断して、管理すべきところを見ておくべきです。たとえば、バリューチェーン上で、誰が最もパワーを持っているのか、その者は価格決定権をどれくらい有しているのかといったことになります。仮に、自社にとっては新規でも、すでにその市場に他社が数社程度参入している場合、その所与の条件下における参入障壁はどれくらいあるのかなどを検討します。

パワーを持つプレイヤーの競争力の強さを、事前に確認し関係者で共有することは重要です。たとえば、業界標準はあるのか、最終的なバリューチェーンの支配者は誰か、新規事業が対象にするエリアにおいて絶対的なポジションを築いている者はいるか、(自社から見て)優良とする顧客とのリレーションを先行して築いている者はいるか、技術力は、コストは、等々。

こだわって検討すればきりがないという面がありますので、全てを完全にこなすというよりは(勿論、それができれば素晴らしいですが)、濃淡をつけて素早く全体をおさえていくことが、前へ進めるという観点でははじめは重要だと思います。ただ、自社でここだけは必ずはっきりさせなければいけない、ここはこだわりどころというところが幾つかあると思いますから、そこは少々時間をかけてでもしっかりやっておくということでいいのではないでしょうか。

ただ、どのような新規事業であっても、必ず注力して頂きたいことは、選定したターゲット顧客に対して、どういった価値を提供するのか、この1点については、徹底した議論、検討を行って頂きたいと思います。特に、B2C領域であれば、はじめから存在しない顧客とか、もう興味を失ってしまっている顧客層などをターゲットに掲げ、新規事業のアイデアを正当化する(意識することなく、自然と正当化してしまう)ことがそう珍しくないからです。

次回は、「事業性の評価」フェーズについて、触れたいと思います。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...