6/08/2022

新規事業創出 (4)戦略①

戦略を創る。そう簡単なことではありませんが、時間は有限、ましてや新規事業の場合、どのホライゾン象限を選択しようとも、効果は勿論ですが、できれば効率よく(少なくとも必要以上の時間はかけないで)策定していきたいものです。

戦略を策定する際、できる限りフレームワークを効果的に使って、進めていくに越したことはありません。あまり込み入ったフレームは逆にそれを埋めるための作業に時間を費やしてしまいがちです。適度にシンプルなもの、でも見落としがちなポイントなどはしっかり押さえてあるものが望ましく、自社に合ったものを採用するのがよいでしょう。望ましいのは、自社固有のものを作り(または何かを改良して)、方法論していくことがベストです。

話が少しそれますが、大手経営コンサルティング会社の場合、何故、経験の浅い若手や、当該領域において実績のない者がコンサルティングできるかというと、方法論があるからというのが大きな理由のひとつになります。時々、「コンサルは地頭がいいのが集まっているから、出来るんだろうけれど・・・」などと仰る方がいらっしゃいます。まったく外れているわけではないのかもしれませんが、筆者個人の感覚では、本当に地頭のいいのはそんなにいないと感じています。むしろ必ずやり抜くとか、絶対成功させるといった、謂わば執念というか、執着心のようなものが、もしかすると一般的な企業に在籍する人たちよりは強い(または多い)ように感じることが少なくありませんでした。執着心も、プロジェクトですから、期日が決まっているため、プレッシャーと共に、更に強くなったりします。

コンサルティング会社には、多くの場合、独自の方法論があって(分野・領域によっては当然ない場合もありますし、会社によってはかなりの差はあります)、それをうまく活用しています。「うまく」というのは、そのまま適用する場合もありますが、担当コンサルタントの経験値・知見や、対象案件を取巻く環境などに合せて、方法論をカスタマイズする(コンサルタントなら誰でもできるし、やっているわけでありませんので誤解ないようにお願いします)、そういった点が、多くの一般企業とは異なります。方法論+執着心で、かなりのことができると言えるはずです。

さて、新規事業の戦略を策定するにあたり、はじめに前提としておさえておくべきことがあります。それは、なんでもかんでも自社でやろうとしないことです。あらゆることに提供できるリソースを持っている企業であれば、それでもかまわないかもしれませんが、普通にいえば全てに対応できる企業などはまずない(または、殆ど存在しない)と言っていいでしょう。

スピードは非常に重要です。令和の時代、こんなことは分かりきったことではあるのですが、本当に得心しているのであれば、少なくともマネジメントは外部リソースをもっと思いきって活用すべきでしょう。

自社にとって、または経営者にとって、社内で行った聞こえのいい環境分析などは、何の役にも立たないばかりか、打ち手を考える上で、障害にもなり、時には致命傷をもたらす結果を招きます。時間をしっかり切って、冷静な分析と判断が、最初の段階(たとえば、自社や自社製品/サービスなどの現在の位置づけや、技術開発に対する現状の取組み方など)では、必須です。

また、併せて現状認識と方向感などについて、社内でしっかり共通認識を持つことが非常に重要です。さもなくば、都合のいい解釈を勝手にする人がいたり、いつまでも延々と技術開発をし続けている人がいるなどで、いざ、何かアクションをとろうとすると、ベクトルが合わないばかりか、一歩も先へ進まないということになりかねません。

新規事業戦略策定で、大きなポイントとなるながれは次の3つになります(シナリオとビジョンは終了しているものとします。つまり、新規事業の領域選定は終わっていることになります)。

1.アイデアの創出と定義
2.事業デザインの策定
3.事業性の評価

次回の「イノベーションマネジメント」ブログでは、1の「アイデアの創出と定義」について、簡潔に述べていきたいと思います。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...