6/27/2022

新規事業創出 (4)戦略⑥

「イノベーションマネジメント」ブログでは、新規事業戦略策定を3つのフェーズで構成しています。はじめに「アイデアの創出と定義」、次に「事業デザインの策定」、最後は「事業性の評価」です。今回は、3番目のフェーズである事業性の評価について、簡潔に述べたいと思います。

事業性の評価は、3つのステップで成立することにします。第一に「事業の魅力」、第二に「リスク」、第三に「事業化可否評価」などとなります。あと、ゼロ番目のステップとして「事業性評価指標の定義」を、状況に応じて加える必要があるでしょう。ただ、用いる指標は基本的に、新規事業創出共通にすべきで、統一した基準で運用する必要があります。新規事業創出案件ごとにならないようにする注意が必要です。なお、1番目と2番目のステップはオーソドックスなものにしましたが、ほかにも自社適合度を別枠で取り上げたり(特に、海外市場に参入する場合、当該地域によっては必要になる場合があるでしょう)、また、事業性評価を取組みのかなりの初期段階で行う場合は、企画の成熟度実行可能性などで行うといった工夫も重要になると思います。

事業の魅力については、市場の魅力自社戦略との適合性獲得価値などを、評価項目とします。各項目について、いくらでも細分化していくことができますが、あまりにも多くの事項を盛り込んだり、総花的になるのは避けるべきで、尖った新規事業案を殺してしまいかねません。また、何度も繰り返し時間をかけて慎重にするのもNGで、環境が変わってしまう可能性があります。

ここでいう市場の魅力には、市場規模と顧客ニーズの大きさや強さなどを、主な判定指標とするのがよいでしょう。そして、結果として参入機会がどれくらいかを判断します。

自社戦略との適合性では、当該新規事業の戦略的な狙いが当社事業全体とアライメントしているか、中核となる実行能力は備えているか、また、新規事業をグイグイと引っ張っていく、或いは確実な後押しや、何かあった時の責任は俺がとる的なリーダーシップも、重要な判定項目になります。どれだけ、美しいコンセプトをうたっていても、それを最後まで執念をもってやり遂げる態度や気迫といったものが希薄であれば、新規事業が成功することはおろか、実現されることもおぼつかないかもしれません。

獲得価値については、利益獲得の方法を評価するわけですが、結果としては数値、営業利益と売上、あと利益や売上に表れない無形資産として何が得られるかという点も重要になるといえます。たとえばブランド価値の向上(算定式はありますが、実際のところどうなのか)とか、新しい技術力の獲得、他事業への水平展開の可能性、特定機関などとの関係強化、社会貢献などが該当します。なお、営業利益については、利益高よりも利益率のほうが、売上を指標に入れていますので、適切だろうと思います。

リスクは、次回のブログで述べることにします。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...