6/19/2022

新規事業創出 (4)戦略④

今回のブログは「アイデアの創出と定義」の次の段階(フェーズ)にある「事業デザインの策定」の1回目になります。このフェーズでは、これまでの拡散的思考から、収束的思考法へ、つまりロジカルシンキング的に議論を行うことが重要となります。このように書くと、拡散思考をやめなければいけないのかと解釈される方が稀にいらっしゃいますが、そうではありません。思考を拡散させているだけでなく、ロジックを用いて収束させる思考法も取り入れないといけない、そういったことに注意してくださいということを申し上げているわけです。

また、そのように言うと、今は何も分からないから、見えないから出来ないなどという方がでてきます。新しいことに取り組む時、考える際には、前提をおく仮説をもって考え、行動する、検証するということが不可欠です。もし、これができない、やりたくないというような人や組織がいらっしゃるようであれば、その時点で新規事業に向き合うことは即時やめられたほうがいいでしょう。時間を浪費するばかりですし、何より、新規事業(ならびに新製品や新サービス)開発の醍醐味は、分からないからやるのであり、分からないからやらない、やりたくないでは、本末転倒だと筆者は思います。わかっていることだけを、何故いつまでもやり続ける必要があるのでしょうか。

事業デザイン策定には、「ターゲット顧客の選定と提供価値の明確化」、次に「価値獲得モデルの検討」、最後に「活動範囲と重点管理項目の設定」の3つステップがあります(名称が少し長いですが、ここではこれでいくことにします)。

提供価値(Value Proposition)は、選定したターゲット顧客にとっての価値です。その新規事業が提供するモノを、顧客が購入/利用することで、どういう利点が得られるのかということです。提供側からすれば、何の価値を、どのように提供するのかということになり、これが他社と同じ(或いは、顧客にとっては同じように見える)であれば、顧客にとってのスイッチングコストを考慮した場合、その価値は殆ど意味を成さない(価値がない)ということになります。

価値獲得(Value Capture)は、その価値を提供することで、提供側はどのように利益を上げることができるのか、その利益獲得の方法のことをいいます。単なる提供(=販売)価格ではなく、〇〇%コストを低く抑えることで利益を高めるとか、そのためには競合他社も保有している基盤技術(もしくは量産技術、包装技術など)の△△を徹底してダウンサイジングする、或いはアライアンスを組んだり、外部に委託することで簡素化するなど。或いは、ライフサイクルを考慮した取引規模や、顧客とのリレーションの深さや広さ(特にB2Bの場合)、他顧客セグメントへの水平展開、または景気循環を踏まえるなど、というようなことを検討し、詰めていきます。少し難しく感じるかもしれませんが、まずはシンプルに考え、現行事業の利益獲得方法と何が違うのか、同じなのか、といったことから考え始めればいいのではないかと思います。

続きは次回で述べることにしたいと思います。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...