ツーリズムの各プランは、長期プランの内容に基づき、策定・実行されるべきであるのは言うまでもありません。ですが、長期プランの中身が曖昧だったり、前回のブログで述べたようなアウトカムが欠如しているようであれば、プランの一部の内容がいつのまにか一人歩きしてしまい、長期プラン全体ですべきことや、本来の企図したものと異なるものになりかねません。
ツーリズムプランのコンテンツには、およそ以下のような内容を盛り込む必要があります。
- 進むべき方向と戦略(ミッション、ビジョン、ゴール、ストラテジー)(ストラテジーとは、ゴール達成ための競争優位を発揮できるアライメントされた打ち手のまとまり)
- 組織構造と財源(組織化の単位と仕事の調整・評価の仕方、ステークホルダーの役割と責任、資金調達の中身)
- マーケティング&ブランディング(ターゲットマーケット、ポジショニング、観光の仕方と滞在時間の長さなど)
- 優先順位付けされたアクションプランと予算
- リサーチ情報
UNWTO(国連世界観光機関)のレコメンデーションを意識しながら、ツーリズムプランを10Asで考えると、以下のようなものを挙げることができます。
- アウェアネス: デスティネーションブランディング、マーケティング戦略
- アトラクティブネス: アトラクションに関する商品開発(新商品/サービスの開発と既存商品/サービスの改良)
- アクティビティ: イベントや祭り等に関する商品/サービス開発
- アクセス: 各交通機関の利便性やサービス、遊歩道等の整備
- アベイラビリティ: 流通チャネル、カスタマータッチポイント、IT/デジタル化
- アピアランス: 観光客が到着する場所の環境整備(広義の商品/サービス開発. デスティネーションブランディングとの整合性が保持されている環境、特に最初に足を踏み入れる地点の雰囲気や外観)
- アプリシエイション: 人材の能力(知識、スキル、ホスピタリティ含む取組み姿勢)、外国語によるコミュニケーション能力(インバウンドの場合)、地域コミュニティに向き合う姿勢
- アシュアランス: モノ/サービス品質の保証、公衆衛生と食の安全、治安、規則
- アクション: マーケティングに関するリサーチとプロモーション
- アカウンタビリティ: 組織構造、業績評価、経済情勢と観光市場の動向
ツーリズムプランを検討する時は、大項目になる論点を一度、英語で挙げてみることをお勧めします。何故ならば、シンプルで分かりやすく、はっきりとするからだと筆者は思います。たとえば、
1. Where are we now?
2. Where we want to be?
3. How do we get there?
1は、デスティネーションは現在何を売り物にしているのか、それは市場においてどういったポジションを占めているのかなどを考えます。そして、観光客の実績と今後を予測します。
2は、ミッション、ビジョン、ゴールなどが該当します。
3は、デスティネーション全体の戦略、たとえば提供する顧客体験が如何に傑出したものであるかとか、新商品/サービス開発に多くの時間とリソースを投入し、他所から決して真似のされようもないものに仕上げているなど、そういったことなどを含めて、具体的に記述します。