1/15/2024

ブランディング (1)ブランディングとは②

ブランディングで最も重要なことは、ポジショニングをとおして、独自性に富んだ価値提案を確立し、それを人々の心の中に根付かせることだ前回の本ブログ(ブランディング)で述べました。では、どうすればそれが実現できるのか。チャレンジングなテーマですが、これからここで少し向き合っていきたいと思います。

すすめていくにあたり、はじめに整理すべきことが幾つかあります。たとえば、ブランディングとは何でどうやるものなのかとか、そもそもブランドには幾つかの専門用語(ブランドアイデンティティやイメージなど)があってそれとの関係などをはじめにはっきりさせておくべきだとか、組織としてブランドに取り組む時に前提として必ずおさえておかなければならないこと等々、こういったことを、このブログのはじめの数回で確認します。その上で、独自性に富む価値提案によって裏打ちされたポジショニングを考えていきたいと思います。

今回は、ブランディングの意味とブランディングのプロセスについてです。ブランディングとはブランドを付与する行為を指しますが、アルライズはこれを、「見込み客の頭のなかに、自らの商品と類似する商品は、市場に存在しないという認識を作り出すこと」といいました。また、ライズはトラウトと共に、以下のことをいっています。

「一番手になること」

「もし一番手になれなかったら、自分だけのカテゴリーを作りなさい」

このことから、ブランディングの成功要因は、買う人の立場になって、いかに目立たせるかということだといえるでしょう。また、ブランドが何かを象徴するものでなければ、成功はおぼつかない、というか失敗するともいえるはずです。

では、ブランディングのプロセスは、どういったものになるのでしょうか。ケビンレーンケラーは、ブランドマネジメントのながれを、4つのステージで定義しています。

A. ブランドのポジショニングと価値の確立

B. ブランドマーケティングプログラムの計画と実行

C. ブランドパフォーマンスの測定と解釈

D. ブランドエクイティの強化と維持

この中で、Aのポジショニングと価値を明確にして確立することが最重要であるのは明白です。ここでつまずけば、この後のステップは無意味なものになるばかりか、消費者のブランドに対する認識との相違(ブランドアイデンティティとブランドイメージとのギャップ)を、埋めることができなくなります。そして結果として、せっかく時間をかけて創り出した商品自体が、日の目を見ないまま眠ってしまうことにもなりかねません。

消費者の頭(または心)の中に、自らのブランドと競合ブランドの棲み分けをしっかり行える場所を確保していき、競合よりも自社のほうが優れていて望ましい、また、消費者が競合を想起しないようにもっていくいくことが、ポジショニングですべきことです。競合と何が違うのか、それは圧倒的に違うものなのか、似通った点はあるのか、あればそれはどこの何なのか、何故消費者はこちらの商品を選択してくれるのかといったことを明確にします。

ケラーは、この最初のステップ(ブランドのポジショニングと価値の確立)を行うにあたり、重要な概念として、以下のとおりメンタルマップ、競争上のフレーム・オブ・レファレンス、類似化と差別化のポイント、コアとなるブランド連想、ブランド・マントラの5つを挙げました

  • メンタルマップとは、消費者の頭や心の中で、ブランドに結びついた様々な連想を視覚的に表したもの

  • 競争上のフレーム・オブ・リファレンスは、ターゲット市場と競争の性質を明確にする準拠枠(準拠枠とは心理学などで用いられ、人がものごとを認識したり、判断する時の基準のこと)
  • 差別化ポイントとは、消費者が同内容のものは競合には見つからないだろうと考えるようなブランドの属性やベネフィットのこと。類似化ポイントとはブランドにとって他ブランドと共有されているもの
  • コアとなるブランド連想は、ブランドの特徴を最もよく表す連想(属性とベネフィット)の集合

  • ブランド・マントラとは、ブランドの最も重要な点やコアとあるブランド価値を3~5つの短い言葉で表したもの

ブランドのポジショニングと価値の確立を詳しく見ていく前に、より大きな枠組み、ビッグピクチャーをはじめにおさえたほうがいいでしょう。また、上述のとおり、ブランドに関係する用語の意味や位置づけなどを確認していきます。たとえば、どのようなブランドになりたいのかといったブランドビジョン、どのようなコミットメントを顧客に対してするのかというブランドプロミス、ブランドのアイデンティティやイメージなどについてです。次回はこのあたりから始めたいと思います。


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