1/22/2024

ブランディング (2)ブランド用語①

ケビン・レーン・ケラーは、ブランドの名称、ロゴ、シンボル、スローガン、キャラクター、パッケージデザイン、サイネージ、URLなどを総称してブランド要素と呼び、自社製品やサービスを他社のものと差別化するための言語的或いは視覚的な情報としています。

そのケラーが提唱した顧客ベースのブランド・エクイティ・モデル(CBBEモデル)には、強いブランドを構築するためには、「アイデンティティ」「ミーニング」「レスポンス」「リレーションシップ」という4つの段階があり、これらをまとめて「ブランディング・ラダー」と呼んでいます。

ラダーは、ブランドがなにものなのかを表すアイデンティから始まり、それが終わると、次の段階のミーニングへと昇っていきます。つまり、アイデンティが創出できなければ何事も始まらないということです。従って、明確なポジショニングを確立するためには、ブランド・アイデンティから着手しなければいけないということになります。

ブランド・アイデンティとは、デビッド・A・エーカーの定義に従えば、「ブランド戦略策定者が創造したり、維持したいと思うブランド連想の集合体」で、ブランドを提供する主体が、自らのブランドをどのように認識してもらいたいのかと思うブランドの姿といえます。

ですが、どれだけブランド・アイデンティをつくっても、消費者がそのように認識してくれるとは限りません。

ブランド・イメージとは、調査などによって明らかにされた消費者が実際に認識しているブランドの姿のこと。端的にいえば、ブランドが消費者にどう思われているかを表します。

強くて良好なブランドイメージを消費者に連想してもらうためには、それを実現するマーケティングプログラムが必要で、プログラムを立案する時には、一貫性のある戦略的なコミュニケーションプランを策定することが重要です。というのも、アイデンティティとイメージにはギャップが存在するか、もしくはそもそもイメージがまだ存在しない場合もあるでしょうから、2者(アイデンティティとイメージ)を橋渡しして、自らが望むアイデンティティに近づけていくのが、コミュニケーションの役割であるからです。そして究極的には、アイデンティティとイメージを完全に一致させ、さらにブランドの提供者と消費者で、ブランドの価値を共創していくことが、ブランドに関するコミュニケーションの目的といえるでしょう。


ブランド・エクイティという概念があります。エクイティに対する見解は必ずしも一様ではなく、結果として、無形資産のブランド論をさらにわかりにくいものにしていると思います(もともとブランド論自体が、ほかの経営理論と比べ、抽象的な要素が多くわかりづらい点があるのですが)。

ブランド・エクイティとはブランドの資産価値を表します。ケラーは「ブランド化された製品やサービスのマーケティングから上がる成果が、ブランド化されていないものと何故異なるのかを説明するもの」としています。

ブランド・エクイティは、もともとエーカーが提唱した概念で、5つの要素で構成されています。①ブランド・ロイヤルティ、②ブランド認知、③知覚品質、④ブランド連想、⑤他の所有権のあるブランド資産(特許、商標、チャネル関係など)

学習院大学の青木幸弘教授は、「ブランドという"器"の中に蓄積されていく無形資産的な価値に着目し、その維持・強化と活用を提唱」したブランド・エクイティ論の登場は大きいとしながらも、ブランド「価値評価の困難性から、"アイデンティティ"概念へと急速にシフトしていくことになる」と述べています。

また、同教授は「マーケティングの本質的役割を"成長の仕組み"或いは"売れるしくみづくり"として考えた場合、ブランド構築とは、それを一歩進めて"売れ続けるしくみ"を作り上げることだという言い方もできる」と指摘されています。

アーカーによるブランド・エクイティの概念を、ケラーが消費者心理学の考え方を取り入れ、顧客ベースのブランド・エクイティという概念で精緻化しました。ケラーの考え方では、知覚品質はブランド連想の一種として扱われています。また、ブランド・ロイヤルティはブランド・エクイティの重要な構成要素としてではなく、ロイヤルティはエクイティの結果として解釈されています。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...