3/18/2024

SMM (1)サービスの種類と特性 ②有形の行為

今回は、前回のサービスマーケティングマネジメント(SMM)述べたサービス業における4つのカテゴリーのうち、有形の行為を対象とした2つのサービス(人に作用するサービス、物に作用するサービス)について考えたいと思います。

有形の行為で人に作用するサービス

このカテゴリーは、多くの人がサービス業と聞いてすぐに連想するもので、サービス業の典型といえるタイプです。飛行機や鉄道、タクシーなどの旅客輸送、レストランやホテルなどの飲食・宿泊、健康増進を目的にしたフィットネスセンター、理容や美容・ネイルサロンなど、そして高齢者施設等含めた医療・福祉などが代表的なものでしょう。

これらの業種に共通することは、顧客自身がサービスプロセスを構成するということです。顧客は、多くのケースにおいて、提供されるサービスを受け取るために、それらの施設へ直接出向く必要があり、その場所でサービの提供と受領が同時に行われます(自宅などへサービス提供者が訪問しサービス提供を行う場合、たとえばプロの調理人が顧客の指定する場所たとえば自宅などで料理を作るとか、髪をセットするということもありますが、こういったケースはここでは例外的なものとして扱います)。

顧客はサービスから得られる対価、自分が十分納得できるベネフィットを得たいのであれば、積極的にサービスオペレーションに加わらなければなりません

業種が多岐にわたるこのカテゴリーでは、顧客がサービスを享受する時間はまちまちです。たとえば、飛行機で米国本土へ行く場合であれば最低でも10時間はかかるでしょうし、国内線であれば1時間程度で済む場合も珍しくありません。女性が美容院へ行く場合などは、カットとシャンプーだけであれば1時間くらいかもしれませんが、ヘアダイをしてパーマをあて、ネイルチェックなどまでするようだと、(詳しくは知りませんが)5時間くらいは、その場所を占有することでしょう。フィットネスセンターなども、取り組むプログラムによってまちまちでしょう。 

ホテルなどは、さらにバリエーションが広がります。同じシティホテルでも、宿泊だけの人もいれば、飲食もそこで全て済まし、ジムやプールなども使い、仕事もそこで行って、何日も滞在するとなると、顧客はチェックインからアウトまで、終日ホテルのサービス提供プロセスに関わっていることになります。長時間、しかもその顧客のリピート需要が期待できるビジネス客であれば、サービスプロセスと各サービスの成果を、事前に推測したり、できれば測定するなど、広く検証、検討しなければなりません。顧客が得られるであろうサービスベネフィットは、顧客が支払う代金以外に、顧客が費やす時間に見合うものかどうか、精神、肉体の面においても考える必要があるはずです。

製造業以上に、サービス業、特に有形無形問わず人に作用するサービス業においては、サービス提供者は、サービス利用者の気持ちや満足感などを推し量るのが難しいことが多くなるのが特徴で、それが高額なサービスや高付加価値を生み出すものになれば、尚更だといえるでしょう。

有形の行為で物に作用するサービス

このカテゴリーは、顧客がサービス提供の場に居合わせることは少なく、サービスの生産と消費が別々に行われるのが特徴で、この点において上記の人に作用するサービスとは大きく異なります。貨物輸送、倉庫、修理やメンテナンス関連、清掃やクリーニングなどは、まさにそういった業種になります。同じ輸送でも、旅客のほうは顧客が運ばれるわけですが、貨物のほうは顧客が依頼した物が運ばれるわけです。

小売については、オフラインであればサービス提供の場にいることがふつうですが、オンラインの場合だとサービスの現場にいることはありません。造園・園芸については、剪定(センテイ、樹木の枝を切り取ること)を行う場合、サービス提供と受領の両者が、現場に一緒にいることはありますが、それも通常、限定的です。

このように、有形の行為で物に作用するもの(有形資産を対象とするサービス)は、サービスは物の生産工程と同じようなものと捉えることができるでしょう。サービスの生産と消費は別々に行われることとなり、顧客がサービスプロセスに直接関与するというのは、かなり限定的といえます。

無形の行為については、次回にしたいと思います。



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