3/11/2024

SMM (1)サービスの種類と特性 ①サービスの定義と4つのカテゴリー

(Reflectionsではしばらくの間、サービスのマーケティングとマネジメントについて取り上げていくことにします。SMMは、Service Marketing & Management/サービスマーケティングマネジメントの略語になります。)


私たちはサービスという言葉を様々な意味で使っていますが、このブログでは、市場における売り手と買い手の価値交換の行為で、本質的に無形であり且つ購入者に所有権をもたらさないものと定義します。その上で、私たちは誰もが、期待通りの結果を求めてサービスを購入しているということを前提とします。

総務省統計局のサービス業基本調査項目を参考にすると、サービス業には、情報通信業、不動産業、飲食・宿泊、医療・福祉、教育・学習支援、協同組合の複合サービス事業、これらに加えてその他サービス業、たとえば学術・開発研究機関、洗濯、理容・美容、娯楽、廃棄物処理、自動車整備、機械等の修理、物品賃貸、広告、専門サービス(法律、会計、調査、経営コンサルティング等)といったものがあります。

ほかにも、金融、輸送・倉庫、卸売、小売といった業種もサービス業に含めることができ、実際、米国のGDPを構成するサービス業の内訳には、これらがカウントされています。

サービスマーケティング研究のパイオニアであるクリストファー・ラブロックによると、サービスはサービス行為の性質とサービスが提供される対象によって、4つのカテゴリーに分けることができるとしています。


  • 有形の行為で、人に作用するもの(人の体を対象とするサービス)

旅客輸送、飲食・宿泊、理学療法、フィットネス/トレーニング関連、医療・福祉、理容・美容、冠婚葬祭関連

  • 有形の行為で、物に作用するもの(有形資産を対象とするサービス)

貨物輸送、倉庫、修理やメンテナンス関連、清掃やクリーニング、廃棄物処理、卸売、小売、造園・園芸

  • 無形の行為で、人の心に作用するもの(人の心を対象とするサービス)

教育、心理療法、情報通信、娯楽/エンターテインメント、広告宣伝、経営コンサルティング

  • 無形の行為で、情報に作用するもの(無形資産を対象とするサービス)

投資顧問等含む金融、法律、会計、調査、データ処理、プログラミング


サービス業は、製造業(業界問わずモノづくり関係する業種)と異なり、顧客がサービスの生産プロセスに関わることが多い。また、提供されるサービスの手順が、顧客によって違いが生じる可能性があるため、サービス提供事業者の経営企画やマーケティング、営業/販売といった部署に関係する人たちは、サービスが提供されるまでのプロセスを把握する必要があります。

本来、サービス業も製造業同様に、オペレーションを、事業規模の大小や全国・ローカル等の展開問わず、決められた作業手順で、チェックや管理含めて厳格に行わなければなりません。それができていないために、最近の例でいえば(あまりにも低いレベルの例ですが)、季節外れの食中毒などが、有名無名問わず、頻発しているといえるでしょう。

ラブロックは、上述の4カテゴリーに属する業種はそれぞれが異なるものでも、サービスプロセスに重要な共通点があると指摘しています。故に、同一カテゴリーに属する業種の人たちは、それぞれの業種を学ぶことで貴重な発見が得られるとも述べています。

次回は、その4つのカテゴリー特性について、述べていくことにしたいと思います。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...