10/05/2023

ツーリズム (5)マーケティングプランニング ②プロセスv

前回のツーリズムブログは、3つの内部資源のうち、有形資産について述べました。今回は、2つめの内部資源である無形資産から始めます。

無形資産は、ブランドネーム、デスティネーションの評判(デスティネーションであれば神話もここに含まれます)、特許や商標などが挙げられます。ほかにも、デスティネーションで蓄積された経験なども該当します。これらの資産は、多くの場合、競争優位に大きな影響を与えます。優位に重要な要素ですから、逆に、競争劣位にもつながる可能性があると理解しておくべきです。無形資産は活用すればするほど(または活用されればされるほど)、資産が成長(または衰退)していくことに特徴があります。

多くのデスティネーションが、新しい施設やアトラクションなどの観光投資には時間とお金を使うにも関わらず、その地にしかないエピソードやストーリーづくりなどに、何故もっと注力しないのでしょうか。多数あるデスティネーションの中から、そのデスティネーションを選択してもらうためには、もっと無形資産の創造に力を注ぐべきでしょう。USP(Unique Selling Proposition/ユニーク・セリング・プロポジション)、自社の商品やサービスが持つ独自の強みや価値提案をもっと磨き上げる必要があります。

そのデスティネーションはUSPを持っているか。

(Yesの場合)より強固なものにするためには、何をすべきか。

(Noの場合)あなたはそのデスティネーションから何を思い描けるのか。

マーケティングにおいて、設定したターゲットに対して、的確なUSPを、適切な場所と時間で使うことほど、強力な武器はないといえます。

3つめの内部資源である組織のケイパビリティは、有形無形の資産とは根本的に異なるものです。この2つの資産は、アウトプット創出のために投入される要素です。組織のケイパビリティは、インプットそのものではなく、インプットをアウトプットに変換するために用いられるもので、プロセス、アセット、人材などの単体、もしくは組み合わせのことを指します。強固な組織ケイパビリティを有するためには、単体ではなく、組み合わせることが必要で、その組み合わせが複雑で且つ高度なものであれば、ほかのところが模倣することは非常に難しくなります。

競合するデスティネーションと大差ない投入要素であったとしても、当該デスティネーションの優れたケイパビリティによって、素晴らしいアウトプットを生み出したり、効率的なプロセスを実現したり、高い生産性を上げたりすることができます。デスティネーションで提供されるプロダクト/サービスが、優れた顧客応対や高い品質が絶えず保証されていたならば、再訪問につなげる確率が高まるといえるでしょう。ツーリズムのような成熟した産業における機会は、一般的には現行プロダクトの改良と、サービス品質の向上が、有力な手立てであることに留意すべきです。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...