前回の地方創生/ツーリズムブログでは、プログラム監査におけるデスティネーション売上創出力の構成要素のひとつであるプロダクトミックスについて述べました。今回はふたつめの要素であるターゲット人数から始めます。
ここでいうターゲット人数とは、当該デスティネーションを認知していて、そこに行こうと思えば、およそいつでも行くことができる人のことを指し、これが売上げの源泉となります。どれだけうまくセグメンテーションをして、ターゲティングをしようとも、ターゲットの大半が当該デスティネーションのことを殆ど認知していなければ、何の意味もありません。ポジショニング以前の問題です。また、デスティネーションに対して誤ったイメージを持たれているようなことがあれば、これもまた深刻な問題で、こういった問題を抱えているデスティネーションが意外と少なくないのではないでしょうか。
ターゲット人数を把握するためには、ターゲットに対するコミュニケーションと流通チャネルが必要です。なお、ここでのコミュニケーションは、主に広告宣伝を指します。
ターゲットについては、
- ターゲットのプロフィールは明確か
- その明確なターゲットが実際に来ているのか(または購入しているのか)
コミュニケーションについては、
- コミュニケーションターゲットが明確になっているか
- ターゲットにメッセージは届いているか
- コミュニケーションはプロダクトの要点を伝えているか
といったことを精査していきます。コミュニケーションで気をつけなければいけないことは、ターゲット人数のところで述べたターゲットと、コミュニケーションをとる相手が異なる場合があるということです。たとえば、ミドルエイジの人にコミュニケーションし、その人の親がデスティネーションを訪れたり、コミュニティで影響力を持つ人に対してデスティネーションのことを伝え、実際に訪問する人はほかのひとであったりすることが珍しくないからです。
流通チャネルについては、
- (初期的段階では)ネット上で自らの観光サイトを開設しているか
- サイト上でOTA(Online Travel Agent)の商品を案内しているか
- ターゲットの検討/購買行動を反映したチャネルになっているか(ネットよりもリアル店舗重視であれば、その販売網がどうなっているかなど)
といったことなどが挙げられます。これ以外にも、リアルの旅行代理店での販売などターゲット層にとっての利便性を確認したり、そもそもターゲット層が居住するエリアでその販売ができているかといったことなども調査の対象に入れるべきでしょう。
顧客化率は、プロダクトの購入見込みがある人と実際に購入した人の和を顧客として、ターゲット人数に対するその顧客の割合とします。
- 考えられるタッチポイントは全て活かしているか
- シーズン毎、またはモチベーション毎などに、プロモーションは行っているか
- 訪問意向者の何%が実際に来ているのか(もしくは購入しているのか)
- 1回の購入金額を上げることはできるか
- 1回の購入点数を増やすことはできるか
- 再訪(または再購入)につながるアクションを理解しているか
- 顧客化率の推移(特に、思うように伸びない場合など)の理由は、理解しているか
マーケティングの監査ですから、主に広告宣伝によって作り出された売上げの源泉となるターゲット人数に対して、実際それをどこまで刈り取れるかを示す指標が顧客化率ということになり、その成否はまさに販売促進の中身次第といえます。