10/02/2023

ツーリズム (5)マーケティングプランニング ②プロセスiv

業界の競争構造を変えるにはどうすればいいのでしょうか。前々回(マーケティングプランニング プロセスii)でも少し触れましたが、市場を細分化して業界を再定義することが有力なやり方のひとつです。

市場細分化の切り口は、市場ニーズの違いを捉えて行います。よくある年齢を5才や10才単位くらいで分けたところで、あまり意味はありません。費者/観光客個々のニーズに合わせたプロダクトを、適切な価格とプロモーションで、流通チャネルをとおして供給することにより消費者を反応させ、当該デスティネーションに来てもらおうとする考え方がセグメンテーションです。

デスティネーションのマーケティングマネージャーに、あなたの顧客は誰ですかと尋ねたら、来る人全員などと答える人はまずいないでしょうが、およそたとえば20代から50代の女性をターゲットにしているとか、30~40代のファミリー層などという答えが返ってくることが多いのではないでしょうか。まったくダメとはいえないでしょうが、できる限り市場セグメントを絞り込み、ターゲット顧客のプロフィールをはっきりさせて、セグメントの優先順位付けを行うことが重要です。

デモグラフィックス(人口統計)に基づくセグメンテーションがまったく意味をなさないというわけではありませんが、各セグメントを構成する個々人のニーズや嗜好、価値観などが多種多様であることは、デスティネーションで働く誰の目にも明らかなはずです。それ故、セグメント構成者のニーズやベネフィットを軸に分類し、それらと相関関係にあると思われるデモグラフィック変数を特定していくべきです。

競争ポジションの変更は、上述の競争構造を変えた段階で、自ずと変わってくるはずです。また、ほかのデスティネーションと戦略的なアライアンスを組んで、ポジションを変えていくということも可能だろうと思います。

内部資源については、内部資源そのものを変えること、もしくは内部資源を強化することが、おそらく最も有効な戦略になるといえるでしょう。内部資源は、有形資産、無形資産、組織のケイパビリティの3つに区分できます。

有形資産には、不動産、原材料、生産・販売などの施設等が含まれます。有形資産は価値を評価しやすく戦略策定には重要なものですが、一方で差別化が難しいという特徴があります。ツーリズムデスティネーションの場合でも、誰もが知り、一度は必ず行ってみたいと思わせるような圧倒的な歴史・文化遺産を有するところは、そう多くはないでしょう。ましてや、一度訪れたらそれで満足、再訪したいと旅行者に思わせるようにするのは容易ではありません。よほどそこに、何らかの価値を付加する必要があります。

長くなりそうなため、無形資産以降は次回とさせていただきます。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...