10/14/2023

ツーリズム (5)マーケティングプランニング ②プロセスvi

今回はマーケティング監査におけるプログラムの監査についてです。ここでいうマーケティングプログラムとは、マーケティングを実践するためのタスクのまとまりとします。

デスティネーション全体、またはデスティネーションの中核プロダクトやアトラクションなど、対象によってプログラム監査の中身は少し変わってくることになります。ですが、何を対象にしてもマーケティングミックスのプロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの4つがプログラム監査の中心です。

デスティネーションごとにゴールと戦略は異なりますが、デスティネーション全体の観光消費額や観光生産額(デスティネーションプランニング ③プロセスii)などは軽視できるはずもないため、まずはこれを評価することが必要でしょう。その後それに係るマーケティングプログラムの内容が的確に実践されているかどうかを精査していきます。なお、前段の「1.2 パフォーマンスサマリー(参考: マーケティングプランニング ②プロセスi)」で、観光消費額や生産額について、検討・評価を終えていたら、プログラムの実効性検証へと進みます。

この観光消費額、大きくするには観光入込客数を増やすか、一人当たりの観光消費を増やすかのいずれか、もしくはその両方というのは明らかです。ただ、それをどうやって行うのか、具体的なマーケティングプログラムにどう落し込むのか、毎月または毎四半期などでその進捗をどのように見ていくのかとなると、デスティネーションによってやり方はまちまちでしょうし、殆ど手つかずの状態にあるところも少なくないのではと思われます。

ここではこの観光消費額から一度離れて、デスティネーションの売上創出力について少し考えてみたいと思います。売上げを創り出すときには何を考えるでしょうか。売上げの元となる様々なプロダクトを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。それから、市場規模やシェアを考える方もいらっしゃるはずです。また、プロダクトを実際に購入してもらえるかどうかということも、検討項目でしょう。

最初の様々なプロダクトの組み合わせをプロダクトミックスと呼び、そのプロダクトミックスの平均単価が算定できるものとします。次に、規模やシェアについては、ターゲット人数を元に考えます。最後のプロダクト購入の可能性については、顧客化率で捉えることにします。これら3つの要素を売上創出力を構成する変数と位置付けます。算式は、

売上創出力=プロダクトミックスの平均単価×ターゲット到達人数×顧客化率

プロダクトミックスとは、デスティネーションを取り巻く環境に合わせて、提供(または訴求)するプロダクトの組み合わせを変更し、収益の最大化を実現できるようにする考え方です。監査のポイントは、

  • プロダクトのコンセプトは明確か
  • USPはあるか、それは何か
  • 来訪者の視点や立場で考えられているか、ベネフィットはハッキリしているか
  • 価格は妥当なものか、プロダクトコンセプトに沿ったものか

  • 競合デスティネーションのコストパフォーマンスは高いか 

といったことを精査します。なお価格については、ブランドイメージと関係するため注意が必要です。他所が高く(または安く)設定しているからといって、こちらも高く(または安く)というのはNGです。

長くなりそうなため、ターゲット人数以降は、次回にまわしたいと思います。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...