11/01/2023

ツーリズム (5)マーケティングプランニング ②プロセスix

ツーリズム産業にとって、マスメディアの影響力は依然として非常に大きいものがありますが、ウェブサイトの閲覧者数やSNSのフォロワー数なども、即時性、即効性があるという点で、重視すべきことは明白です。ですが、多くの地方自治体では、まだまだそういう状態にはなっておらず、観光客増大に向けた打ち手の面で、改善余地があるように思います。

デジタルマーケティングでは、「リード」という言葉が頻繁に使われます。見込み客のことを指しますが、何をもって見込み客(リード)とするかは、業種や企業によって異なるため、ここでは次のように定義します。

  • デスティネーションが、消費者と何らかの接点を有し、アプローチすることができる。
  • 消費者が、デスティネーションそのものを認知している(名前くらいは聞いたことがあるというレベルのものも含む)。

リードをマネジメントしていくという点において、デスティネーション内にあるリード情報を棚卸して、実数を把握することが重要であり、ここから取組みの第一歩が始まるといえるでしょう。ターゲットに設定しているセグメントの市場規模がどれくらいで、それに対して現在保有しているターゲットのリード数はどうなっているのか、その割合を把握します。

ターゲットに対するリードカバレッジ=保有ターゲットリード数÷市場ターゲットリード数×100


プログラム監査では、デスティネーションの方策に従って、リードに対する調査を行うべきです。たとえば、もし上記のKPIが低ければ、広告宣伝費をかけてリードをもっと増やすようにすべきですし、割合が高いようであれば、保有するリードとの関係を深めていく必要があります。マーケティング監査のプログラム監査では、そういったことがどのように行われているのかを調査することが望まれます。

もしターゲットのリード獲得単価があまりにも高いようであれば、リード獲得に関する施策や活動自体の内容は再考したほうがいいでしょう。

ターゲットリード獲得単価=マーケティング活動費÷ターゲットリード獲得数


保有するリードをいかに見込みの高いリードに変えていくか、見込みありと判断できるリードはどれくらいの数なのか、具体的にデスティネーションへ来てもらえそうな人は何人で、増えているのか変わらないのかといったことなどを把握しておくことは極めて重要です。

プロスペクトリード移行率=プロスペクトリード数÷保有リード数×100%

リード接触指数=リード接触回数÷保有リード数×100%


パーチェスファネル(purchase funnel)という考え方があります。消費者が購入するまでの過程が、逆ピラミッドになる、漏斗のように見えるため、パーチェスファネル(漏斗)と名付けられ、AIDMA(またはAIDA)モデルの発展形といわれています。

Attention: 注意

Interest: 興味

Desire: 欲求

Memory: 記憶

Action: 行動

ファネルの階層には幾つかの説があります。ただ、デジタルのマーケティングファネルを考える時は、こちらのほうがしっくりくるようにも思います。

Awareness: 認知

Consideration: 考慮

Conversion: 購入へ向けたアクション(問い合わせ等含む) 

Loyalty: ロイヤルティ(愛着や信頼)

Advocacy: 支持

ただ、一方でファネルの限界も指摘されています。筆者が在籍していたアクセンチュアでは、2014年くらいに、カスタマーエクスペリエンスには終わりがないとして、パーチェスの道のりはリニアからループへと変わり、カスタマージャーニー自体がダイナミックなものになってきていると語っていました。

道のりや階層をどのように捉えるのか、また、5段階である必要があるのかどうかといったことには、絶対的な正解があるわけではありませんので、デスティネーションにとって使いやすく実効性があるもの、関係者共通で理解を得やすいものにすべきでしょう。ただ、いずれの場合でも、認知興味関心比較検討行動/購入といったながれは、おさえておく必要があるのは間違いありません。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...