11/09/2023

ツーリズム (5)マーケティングプランニング ②プロセスx

今回は、マーケティングプランニングシステムの「2.状況確認/Situation Review」下にある「2.2 SWOT分析と課題特定」についてです。

SWOT分析は、ご存知のとおり、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)について分析を行ったものです。前者の2つが内部環境、後者2つが外部に関するもので、それぞれの頭文字が使われています。随分以前から、優れた戦略はこの4つの条件を考慮したものであるといわれてきました。

強みとは、自ら(企業、デスティネーションなど)の経済価値や競争優位を生み出すうえでの経営資源やケイパビリティのことをいいます。弱みとは、経済価値や競争優位創出を困難にするような経営資源やケイパビリティとなります。

機会とは、経済上のパフォーマンスや競争上のポジションを向上させるチャンスのことで、脅威とはその逆となりますので、機会を捉えながら、脅威を無力化させていくことが必要となります。

SWOT分析のフレームワークはシンプルで、誰にもわかりやすいものです。的確に分析をすすめれば、4つの要素を全て明確に示してくれるため、優れた戦略を考えだす契機となります。ただ、その4要素を特定していく際、そのやり方や基準については何も語ってくれません。

SWOT分析は、導き出した強み、弱み、機会、脅威について、それぞれどのようにすればよいのかという問いかけを、正しく行うために用いるべきです。たとえば、

強みを活かすためにはどうすればいいのか

弱みを克服するか、回避するためには、どうすればいいのか

機会をどうやって、捉えればいいのか

脅威を無力化することはできるのか、等々


続けて、「3. マーケティング戦略策定」にすすみたいと思いますが、このまま書き連ねていくと、また長くなってしまいますので、3.1 マーケティング仮説」以降は、次回に回すことにして、マーケティング戦略全般について、筆者がふだんから思っていることを少し述べて終わりにしたいと思います。

成功するマーケティング戦略とはどういったものでしょうか。差別化や価格といった何か1つに頼るのではなく、様々なものを1つに組み合わせて、独自性の高いものにしたものが成功につながるといえるでしょう。

競合より、いろいろなものを少しずつうまくできたとしても、それは必要かもしれませんが、十分とはいえません。

次のような文言は、成功を約束するものではありません。たとえば、絶えず顧客の期待を上回ること、絶え間ない商品/サービス改良に努めること、高成長市場にいち早く参入すること、サービスを磨き上げること、高品質を維持し続けること・・・。

常識を打ち破ってこそヒットが生まれるなどといわれることがあります。マーケティングには、いろいろなPがあります。Product、Price、Place、Promosionの所謂4P以外にも、Positioning、Package、Publicity、Permission(許可、承認)等々、これらの固定概念を打破すればいいのでしょうか。こういったPにそつなく対処できれば、少しは成功できるかもしれませんが、十分とは到底いえないでしょう。設定したゴール次第なところはありますが、情報があふれかえっている現在では、そもそも全体の中に埋もれてしまいます。

成功の鍵は、目立つこと。これがあまり上品な言い方でなければ、お客様に他者よりいち早く、よく知っていただくことだと筆者は思います。勿論、知ってもらうだけで即、成功につながるわけではありませんが、少なくとも検討の土俵に乗れる可能性がでてきます。加えていえば、常識破りなものであれば、メディアが取り上げてくれるでしょう。ただ、常識を打破することと、非常識な振舞いは当然、別個のものです(当たり前ですが)。

何を目立たさせるか。それは、まず全てのPを見直して、突出したものを見出すこと。ただ、それは独りよがりなものでなく、購入する人、デスティネーションへ来てくれる人の気持ちや立場になって考えることだと筆者は思います。自分のところのデスティネーションを儲けさせてくれる人を特定する。だからこそ、顧客を知ることが必要です。


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