1/26/2025

ブランディング (5)ポジショニング ⑤3段階手法vii ポジショニング・ステートメント

昨年11月中旬から、ジョン・R・ロシターとラリー・パーシーのブランドポジショニングに関する3段階手法について概説してきました。3つのモデルそれぞれについては、以下をご覧ください。

X-YZモデル その1 

X-YZモデル その2

I-D-Uモデル その1

I-D-Uモデル その2 

a-b-eモデル その1

a-b-eモデル その2 


今回は、その3段階手法に基づくロシターとパーシーのブランド・ポジショニング・ステートメントのフォーマットについて触れておこうと思います。なお、このステートメント・フォーマットについては、表現の仕方を変えずに引用したほうがわかりやすいと思い、以下にそのまま記載することにします。


1. (ターゲットオーディエンスY、つまり本稿ではターゲットとなる消費者Y)にとって、

2. 〇〇は(カテゴリーXの)(中心に位置するか、或いは差別化された)ブランドであり、

3. (ブランドベネフィット、またはベネフィットであるZ)を提供する。

 

このブランドのコミュニケーションは、

①(a、bまたはe)にフォーカスし、(独自に実現できるベネフィットU)を強調すべきである。

②(カテゴリーへの重要な参入条件であるベネフィットI)について、詳しく言及しなければならない。

③(実現性の劣るベネフィットD)は省略または相殺する。


ロシターとパーシーは、一般に公開されている情報に基づき、スウェーデン車のボルボを例に挙げて、次のように記述しています(文章は筆者が一部加筆修正しています)。

1. 所得の収入が高く、ほかのブランドに変更することを厭わない消費者にとって、

2. ボルボはプレステージ性を誇る車の中でも、差別化されたブランドであり、

3. 安全性(問題を回避する)、パフォーマンス(問題を除去する)、プレステージ(社会的承認を得る)というベネフィットを提供する。


ボルボのコミュニケーションは、

①(たとえば、エンジンや走行などに支障をきたさないか、故障したりしないか、いつもちゃんと走ってくれるかといったような)負の情動を起点として、ベネフィットをフォーカスし、安全性とパフォーマンスを強調すべきである。

②その上で、プレステージクラスの製品カテゴリーに参入するため、自車のプレステージの高さに言及しなければならない。

③そのためには、従来の大衆車的な製品訴求は控えめにする。

 

なお、ロシターとパーシーは、上記②と③をさらに良いものにするのであれば、②は情動にフォーカスして表現されるべき、③は重視しない性質を特定すべきだと補足しています。

ブランドのポジショニング・ステートメントが終わり、次にベネフィットのポジショニング・ステートメントを作るのであれば、強調されたベネフィットである①のみを示して、広告をはじめとしたコミュニケーションにおける表現のアイデアをより刺激することができるとしています。


ブランドのポジショニングとは、特定のターゲットが、ある特定のカテゴリーまたはカテゴリーニーズにおいて、特定のブランドを購入する理由を説明するものです。このため、ブランド・ポジショニング・ステートメントは、それをわかりやすくまとめたものになります。

次回は、3段階手法を簡潔にまとめて、終わりにしたいと思います。


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