4/08/2022

脱炭素経営の取組み (2)Scope2①

スコープ2は間接排出で、自社が外部から調達している電力を中心としたエネルギーが、CO2排出量の算定対象です。但し、100%再生エネルギー由来で発電し、温室効果ガスを排出していない場合は、算定の対象外となります。また、自社で再エネ発電した電気、たとえば太陽光なども算定対象外です。なお、ディーゼル発電機のような自社発電でCO2を排出している電気は、スコープ1で算定することになります。

スコープ2のCO2排出量=エネルギー使用量×CO2排出係数

電気の場合は、電気の供給元ごとに算出します。A工場とB工場の供給元が異なる場合は、それぞれについて計算し、最後に合算します。電気使用量の確認は、電力会社の請求書などを確認します。CO2排出係数は、電力会社ごとに異なるため、比較する年を同じにする必要があり、このためには環境省から発表されている電気事業者別排出係数などを参照します。電気以外では、蒸気・温水・冷水の熱が該当し、算出のながれは電気と同じ、但し熱の種類ごとに計算することになります。なお、他者に電気や熱を供給した場合は、スコープ2全体の値から当該供給分を引く必要があります。

このスコープ2でのCO2排出量を削減する方法は、電気の場合、以下の4つに絞られます。

1. 調達する電気の排出係数を下げる。
2. 調達する電気を再エネ由来に切り替える。 
3. 自家消費型の太陽光発電を活用する。
4. カーボンオフセットを購入する。 

1と2は重複するところがありますが、ここでいう1は、電気料金も並行して下げる、またはできる限り上げないという意図や目的を含んでいます。

1は、現行電力調達先または新規(現行から切り替える)の電力会社に対して、排出係数低減交渉を行い、新たな排出係数(現行値より下げた係数)の電気を購入します。単に係数を一時的な場合も含め下げるか、または計画的に下げる、たとえば最終的にCO2フリー電源に切り替えるための過渡的措置として計画的に下げていくかは問わず、とにかく係数を下げます。CO2排出係数を下げながら、且つ電気料金の削減も試みるという点で有効な方法です。但し、現在のような電気料金が高騰し続け、先行きが非常に見えづらくなっている今、特に22年3月下旬以降の時点では、実現(係数を下げ且つ料金も下げる)の難易度は、かなり高くなっています。

2について、再エネ(再生可能エネルギー)由来の電気とは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの発電が挙げられ、これらはいわゆる非化石エネルギーや非化石燃料と呼ばれています。一方、化石燃料とは、太古の昔に存在していた動植物の死骸が地中に堆積し、長い年月をかけて変化してきた燃料のことで、石油、石炭、天然ガスが該当します。

再エネは、エネルギー源として永続的に利用できるものとされ、エネルギー源が枯渇しないと言われています。加えて、何より、火力発電のような温室効果ガスを排出しないで(または非常に少ない排出量で)電気をうみだせる、電気を比較的どこでもつくれるということから地理的制約が殆どないとされ、これらが大きなメリットになります。加えていえば、純国産のエネルギーのため、エネルギー自給率を高められることも挙げられるでしょう。

デメリットとしては、誰もがすぐ頭に浮かぶことに、太陽光や風力などは天候によって発電量が大きく左右される(一般家庭ならさして影響ないでしょうが、工場ともなれば問題です)、エネルギー変換効率の低さも含め発電コストが高い、大規模発電に適しているとはまだまだ言えない、といったことなどが挙げられます。このため、再エネは、多くの企業、特に大手企業が主力電源にするにはもうしばらく時間がかかることになります。

なお、2の電気料金は、電力需要家が購入している再エネ切替前の価格がよほど高いものでない限り、通常、割高になるのは避けられません。とはいえ、手っ取り早くCO2を削減することは可能ですから、電気料金と削減できるCO2のバランス次第ということになります。電力会社によって、CO2削減メニューや価格が異なるため、電力会社の特性を見ながら、複数社から見積をとり、検討することが必要です。

3の自家消費型太陽光発電については、次回以降の「脱炭素経営の取組み」ブログで、カーボンオフセットについてはその後のブログで触れたいと思います。


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