4/13/2022

脱炭素経営の取組み (2)Scope2③

オフサイトPPA(フィジカル)、自社の敷地(需要場所)から離れた場所に発電設備を設置し、その設置場所から需要場所へ、発電した電力を供給/調達するモデルです。

電力需要家にとって、オフサイトPPAのメリットは、第一には、オンサイトPPAと異なり、敷地面積の制約がありません。オフサイトPPAは、送配電ネットワークを介して電力が供給されるため、広大な敷地が確保でき、送配電可能であれば、場所は何処でもいいことになります。それ故、第二のメリットとして、自社が消費する電力をRE100などの100%再エネにすることが可能となり、この点が現時点での一般的なオンサイトPPAとは異なります。

オンサイトPPAでは、構内ネットーワークを活用するため、電力需要家は発電事業者と直接契約できますが、オフサイトPPAの場合は送配電ネットワーク経由になるため、電気事業法上、直接の契約ができません。需要家は、小売電気事業者と契約し、太陽光の固定価格、電気事業者の手数料に加え、送配電ネットワークの利用代金として託送料を、長期間、一定の価格で支払わなければいけません。なお、発電事業者は、小売電気事業者と契約を結びます。

オフサイトフィジカルPPAの事例としては、小売流通業のセブン&アイが、NTTグループによるセブン&アイ専用の太陽光発電所建設によって、電力を調達することが知られています。先進的なものでは、不動産のヒューリックによるフィジカルPPAが挙げられます。これは、開発事業者が建設した太陽光発電所を、ヒューリックが買い取り、所有する点が特徴的で、自社グループ内で、100%再エネ電力の供給と調達を完結することを目指します。ほかにも、ソニー花王アマゾンなどがあります。

オフサイトバーチャルPPAは、フィジカルのような電力需要家と発電事業者の間での電の供給/調達関係はありません。というのも、発電事業者は需要家に対してではなく、卸電力市場へ全ての電力を売却し、需要家は卸電力市場から電力を調達するという仕組みになっているからです。需要家はオフサイトPPAと同様に、小売電気事業者と契約します。需要家は、卸電力市場から電力を購入するため、価格は市場価格とPPAの固定価格が合わさったものになります。このため、市場価格が低い場合は需要家から発電事業者へ差額を支払い、高い場合には需要家が受け取ることになります。

今のところ、オフサイトの電気料金はオンサイトと違って、平均的な電気料金よりも高くなる場合が多いとのことですが、太陽光の発電コストが今年度からさらに低下することが見込まれているようですので、通常分と同額に近づくか、或いは下回る可能性もあるようです。

自社の敷地外に発電設備を設置できる、つまり広大な敷地を選択できるオフサイトPPAは、再エネ100%を目指す企業にとっては、今後、おそらく重要な選択肢になると考えるのが妥当かと思います。次回は、カーボンオフセットについて、簡潔に述べたいと思います。


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