4/24/2022

脱炭素経営の取組み (2)Scope2⑥

作成したカーボンニュートラルマップ/CNマップに、電力消費に関する予実分析という機能があると仮定します(「予実分析」は、レベル1の「モニタリング&検証」直下にあるレベル2のひとつに該当するものとします)。

この予実分析では、通常、1施設内で、または各工場間で、月別に予測値と実績値を照し合せ、修正を加えたり、対策を練ったりします。何故、誤差がでるのか、今回の差はどうして大きいのか。もしくは、同等規模で同じような製品を生産する工場間で何故差が生じているのか。また、ある施設では実績値の把握に、他施設と比べ時間がかかっているとすれば、それは何故なのか、何がどう違うからそういったことが発生しているのか等々、検討を重ねているはずです。

単純化していえば、たとえば、その違いが製造プロセスにおよそ起因すると思われるのであれば、スコープ1で考えることになりますが、仮に、(製品含めた製造プロセスの特性を考慮した上で)調達している電力にその大きな要因があると考えられるのであれば、それはスコープ2で、調達電力の見直しをかけていく。当たり前と思われる読者の方もいらっしゃるかと思いますが、企業規模が大きくなれば、本社で各事業会社や施設の横比較をしっかり行っているところは、意外と多くないことがあります。

このような検討は、カーボンニュートラルに向けた取組みのロードマップを作成する上で、以下にあるアクションの2番目(問題の分析と解決方向の検討)に該当します。前回の「脱炭素経営の取組み」ブログでは、3つのステップでCNマップを作成すると書きました。その3つのステップは、以下の1(業務の洗出しと全体像の作成)に収まり、これをフェーズ1と呼ぶことにします。

1.業務の洗出しと全体像の作成
2.問題の分析と解決方向の検討
3.ロードマップの作成

フェーズ2(問題の分析と解決方向の検討)では、上記のような分析(例として記載した予実分析)や、論点の整理などを経て、解決方向を検討していくことになります。ここでは、そのものズバリの解があるに越したことはありませんが、大事なことは、仮説を作って、検証を重ねていく、それを組織で積み上げていくということです。なお、もしも、なかなか正しいと考えられる解を得られないことがあった場合は、いつまでも延々と時間をかけることなく、粗い仮説ベースで、フェーズ3の「ロードマップの作成」へ進み、取組みのかたちを整えていくことが重要です。カーボンニュートラルは、誰も取組んだことのない世界のことですし、また、状況次第では、問われる中身が変わることもありえるため、時には大胆なトライ&エラーを繰り返し、思いきって前進していくことが何より重要だと思います。

「脱炭素経営の取組み」ブログ第3回に記載しましたが、何のために脱炭素の取組みをするのかによって、フェーズ2で導き出す解決方向や、取組みの優先順位付けは異なるものになるはずです。たとえば、取組みは、自社の競争力を向上させるために行うのか、或いは、災害対応力をより強化していくたにするのかによっても変わってきます。前者であれば、たとえば、CO2排出量をいち早く削減し、サステナビリティを訴求していくことを主たる狙いとするのか、または施設・設備の効率化なのか。後者であれば、BCP能力の向上か、大規模停電への備えを万全なものにするのかなど、お互い重複するところはありますが、対策の軸を何に据えるかによって、打ち手やとるべきアクションは変わってくることには注意が必要です。何もかもを含んで、全てを同じようにやるというのは現実的ではありません。ゴールに沿って、濃淡をつけることが必要です。次回のこのブログでは、ツールを使った可視化について述べてみたいと思います。


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