4/26/2022

脱炭素経営の取組み (2)Scope2⑦

スコープ2から1へ、このブログを続けていく前に、排出量算定ツールを活用した可視化について、取り上げてみたいと思います。

国の「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」への対応もあって、大手はじめ、中堅・中小でも、可視化は10年以上前から対応しているという会社は少なくありません。実際、非常に強いこだわりや、信念をもって取り組まれてきている製造企業もいらっしゃいます。また、以前より、国や業界の方向感、企業/事業/製品特性などから、算定(或いは推計)方法は、積上げ法が推奨されてきたと理解しています。

2050年にカーボンフリーが目標値として設定され、多くの企業が可視化に取り組み始め、相当な時間や労力を費やしても、思ったほど先へ進まないということが見えてきています。そして何より、見えるようにできた後のネットゼロに向けた対策の検討と実行が何より大変です。このようなことから、最近は、按分法を採用する傾向が強いようです。筆者個人的には、脱炭素排出削減の主旨やゴールなどに照らせば、按分法がより現実的で実効性が高いと思っていますが、こればかりは、取組みの狙いや製品/サービスの思想などから、一概には言えないでしょう。

ところで、可視化(ひとまず仕上げるという意味での可視化)をするために残された時間は、あまりそう長くないかもしれません。というのも、脱炭素に関係するイニシアチブの動きが本格化しているからです。なかでもTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に沿って、IFRS財団の傘下にあるISSB(International Sustainability Standards Board、国際サステナビリティ基準審議会)が、気候変動リスクの情報開示の国際的な基準案を公表し、23年にも企業への導入を目指しています。そこでは、業種別に重要な気候リスクや対策の開示内容を、数値指標を使って定めるものになるとのこと。IFRSからの公表はこちら(22年3月31日付)です。

また、周知のとおり、カーボンプライシングの導入も検討されています。炭素排出に伴う費用負担を、企業や消費者に求めるもので、CO2排出量に価格をつける制度です。先行して、企業向けのインターナルカーボンプライシングは、採用する企業が大手を中心にでてきています。

以上のようなことから、可視化については、早く数値化しておくことが重要であり、このためには、エクセルでゴリゴリやるのも悪くはないですが、一定の事業規模を有する企業は、効率よく取組み、まずは仕上げることが必要だと言えますし、また、そのツールが会計システムと容易く連動するのであれば、当該ツールを選択すべきと思います。加えていえば、国内の金融機関も、可視化を行っていない企業には、投融資を控える方向が顕著にもなってくるでしょう。

スコープ2ではまだしも、スコープ1、特にスコープ3ともなれば、企業規模や特性によっては、プラットフォーム的なデータ共有基盤も必要になることが考えられますから、尚更だといえます。可視化は目的ではなく、あくまでも手段、ひとつの過程に過ぎないため、逡巡は避けるべきであるのは明白です。

最後に、弊社では、現時点で最良と思われるツールを提供するサービス企業と、パートナー契約を締結しました。可視化やそのツールなどについて、お尋ねになりたいことがありましたら、info@truerisep.comまで、お気軽にお問合せください。


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