8/18/2022

サーキュラーな国② 日本その2

日本一の梅の産地として知られる和歌山県のみなべ町と、田辺市が、「みなべ・田辺の梅システム」として、2015年に世界農業遺産に認定されました。梅は古来、中国から薬として伝わったとされていますが、梅干しとして加工し食品にしたのは日本独自の取組みです。

世界農業遺産の認定基準(食糧と生計の保障、農業生物多様性、地域の伝統的な知識システム、文化・価値観及び社会組織、ランドスケープとシースケープの特徴)については、みなべ町のサイト「みなべ・田辺の梅システム 世界農業遺産認定」をご覧ください。なお、現在の日本では、世界農業遺産として認定されているのは、みなべ町と田辺市を含め、全部で13地域あります。

梅システムの特徴は、第一に、開墾した山を全て梅林にするのではなく、薪炭林(しんたんりん)として森を守り、持続可能な農林業を維持しています。第二に、多くの梅の品種は自家受粉できず、ミツバチによる受粉で梅が育つという共生関係があります。実際、世界農業遺産としてこの点が高く評価されたそうです。第三に、あのおいしい南高梅を生み出す梅の収穫と加工生産技術が挙げられ、最後に、薪炭林から海辺まで続く多様な生態系を保持しています(みなべ・田辺の梅システムpdfから引用)。

エレンマッカーサー財団のサーキュラーエコノミー(CE)の3つの定義(廃棄物や汚染を出さずに設計する、製品と資源を使い続ける、自然のシステムを再生する)に対しても、完全に符号するといえるのではないでしょうか(製品を使い続けるという点において、梅干しは一度口に入れたらなくなるため使い続けることはできませんが、梅林は生き続けているという点において「使い続ける」といえます)。

このように、梅干し作りは、まさに、日本が誇るべきCEといえるでしょうし、ほかにも、ハチミツ作りや、米作りもその典型といえるのではないかと思います。ずっと昔から、日本の農家の方々は、何も捨てていない、まさに、サーキュラーなエコノミーを、体現されていると思います。



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