8/08/2022

サーキュラーな国② 日本その1

日本には、古くから、自然に、当たり前のこととして、サーキュラーエコノミーを体現してきている産業が多くあります。そして、その筆頭格は、何といっても着物ではないでしょうか。

着物といえば京都、京都といえば西陣です。そもそも着物は、反物からできますが、これは直線です。洋服と異なり、立体裁断はありません。このため、端切れがでることは殆どなく、縫い目も直線のため、仕立て直しが容易く、丈の調節もできます。長く身に着け、傷んできたら、子供用の着物に、また、下駄の鼻緒や雑巾などに、そして最後は燃やして灰にする。反物は、養蚕して生産した絹糸などから作られるため、まさに土から土へ、Cradle to Cradleではないでしょうか。着物には無駄が一切ないといわれる所以だと思います。

その京都ですが、ほかにも、たくさんサーキュラーエコノミーを実現している産業があります。そのなかで、漬物は必ず挙げなければならないでしょう。京都には本当にたくさんのおいしいお漬物屋さんがあります。たとえば、西利では、環境への取組みとして、漬物づくりの過程で生まれた野菜くずを堆肥化し、土づくりをとおして、再び野菜を作るという、まさにサーキュラーな農業を、農業法人の西利ファーム、JA京都と連携して実現しています。

日本酒も同様ではないでしょうか。酒処、京都伏見の代表銘柄でまず挙げるべきは創業1637年の月桂冠でしょう。酒粕中心の有機質肥料で稲を育て、収穫米で酒をつくり、酒粕を肥料として再び土に戻して稲を育てるという、これもまさにサーキュラーな取組みを、滋賀県彦根市のJA東びわこと、1996年より行ってきています。加えて言えば、同社のホームページによると、化学肥料を使わないため、農薬も通常のものと比べて、50%以上削減しているとのことです。

京都の伝統的な企業に限ったことではありませんが、日本企業は、もっと、国内外へ、自社の取組みを発信すべきではないでしょうか。分かる人にだけ、買ってもらったらいいとか、分かってもらえればいいという姿勢は、令和の時代には尚更、不向きだと思います。ただ、伝統、何百年という企業からすれば、バブル経済後くらいから始まった、所謂広い意味でのエコの取組みなど、あまりに近視眼的で、それがどうしたの、我々は何百年も前からこれをやってきていますから、ということになるのかもしれませんが・・・。


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