4/01/2023

サーキュラーエコノミー 6つのモデルと事例①

昨年の初夏から初秋にかけて掲載したサーキュラエコノミー(CE)の事例などから、サーキュラーエコノミーは、6つのモデルに区分できると述べました(サーキュラーなアプローチ①)。

(1)モノのサービス化:PaaS(Product as a Service)型ビジネスとして、モノ/資源の生産性向上を企図

(2)消費や利用の共同化:多くのシェアリングビジネスを指し、モノや空間、移動等のシェア、使用率の向上を企図

(3)原材料の改変高度にリサイクル可能な原材料に変更

(4)資源の再利用使用可能な資源を廃棄物や副産物から回収して再利用

(5)デザインによる廃棄物ゼロ廃棄物が発生しないデザインの導入

(6)商品ライフサイクルの拡張修理、加工、アップグレードによる製品寿命の延長

今回はこれらを振り返りながら、事例を少しアップデートしたいと思います。

サーキュラーエコノミーでは、バリューチェーンをサーキュラー/循環型へ転換させることが前提ですので、「モノのサービス化」や「消費や利用の共同化」といったモデルは、CEの典型といえます。

モノのサービス化については、パナソニックがナノケアのヘアードライヤー、空気清浄機、乾燥機、食洗器、調理家電、テレビ、ビデオなど、様々な商品を対象に行っています。

サーキュラーエコノミー事例③で記載したレンタルファッションの先駆け的存在である米国レント・ザ・ランウェイは、コロナ禍での業績不振から、現在ほぼ全店舗を閉鎖し、人件費などを大幅に圧縮させ、高収益事業への転換を進めているとのこと。モノのサービス化は、扱う商品にもよりますが、基本的に参入障壁は低く、ミートゥー(me too)企業がどうしても多くなりがちです。このため、モデルのコモディティ化、陳腐化も早くなりますから、商品の改廃、サービス要件の改良が欠かせず、また商品特性によっては顧客の組織化も必要になることなどから、低利益構造であれば、今後、長く続けることは難しいように思われます。

消費や利用の共同化については、国内でも多数の事例があり、シェアリングビジネス真盛りといった感があります(但し、シェアリングビジネスの全てが、サーキュラーエコノミーというわけではありません)。筆者個人としては、タクシーとバスの中間のような相乗り交通手段であるmobiの動向から目が離せません。これは、半径約2キロ内に多数のバス停を仮想的に設定し、乗客は一定額を支払えば、希望する乗降地点を選択して乗り放題が可能になるというものです。地方で何処まで広がっていくか、JRやローカルバスの廃線問題などと絡めて要注目です。また、国内長距離のライドシェア(相乗り)サービスを提供するnottecoは、ドライバーの自家用車を利用して、相乗り希望者とマッチングさせるというサービスを提供しています。但し、国内でのライドシェアの潜在的な市場規模は大きいといわれていますが、法令の壁があって事実上禁止されているような状況です。同様の理由から、ウーバーイーツも日本国内での事業拡張には限界があるため、今後の法整備が待たれます。

原材料の改変以降については、次回の本ブログに記載することにします。






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