4/08/2023

サーキュラーエコノミー 6つのモデルと事例②

前回ブログ(CE6つのモデルと事例①)の続きです。

原材料の改変については、サーキュラーな国③フィンランドその2で、プラスティックの代替素材として、フィンランドの針葉樹からつくったパルプを用いたパブティックをご紹介しました。ほかにも、米国のエコベイティブ・デザイン社などがあります。プラスチックに代わる成型材料として、麻と菌糸体を使用するこの企業は2007年に創業しました。化石燃料や動物性原料への依存をやめて、廉価で汎用性の高い植物性素材を開発しています。パッケージのほかに、食品、アパレル、シューズ、化粧品等の分野での素材開発を広く行っています。国際的な優良企業(デル、イケアほか)と提携するなどして、実用化を進めています。

日本では、TBMを挙げるべきでしょう。「時代の架け橋になるような会社(Times Bridge Management)を」との想いから、2011年に創業した同社は、石灰石や使用済みプラスチックなどを主原料にする素材メーカーで、日本では数少ないユニコーン企業です。ほかには、たとえばソニーグループが、小型製品のプラスチック包装全廃を目指して、2023年度にスマートフォンなどの小型製品から着手するとのこと。

アパレルでは、サーキュラーエコノミー事例②でも触れたナイキのサステナブルシューズのスペースヒッピーが最も有名ではないでしょうか。日本では、ファーストリテイリングも知られていますが、やはりここではワールドグループの取組みを挙げるべきだろうと思います。同社は、23年秋冬シーズンから、製造過程で残った端切れや、ペットボトル、廃棄衣料品を原料とする再生素材「CIRCRIC(サーキュリック)」ブランドを立ち上げ、OEMやODMも含め、業界を横断して拡大展開を計画しています。原材料の改変については、技術力やデザイン性の問題に加え、かかる費用をどのように扱うかが、大きなポイントになっています。

資源の再利用については、サーキュラーな国②日本その1で述べたとおり、日本の企業・事業者の取組みは秀逸であり、これこそ循環経済と呼ぶべきもの。漬物や日本酒、ハチミツやお米などについては、およそ業界全体がサーキュラーな取組みを、何百年にもわたって続けてきています。ですが、広く知られているとはいえないのではないでしょうか。1事業者、1団体で行うには自ずと限界があるため、日本全体の取組みとして、もっと広く、深く、世界に発信して頂きたいと思います。(なお、着物については、筆者は「デザインによる廃棄物ゼロ」のほうに分類していますが、資源の再利用として挙げることも勿論可能です)

ほかにも、たとえばファーストリテイリングが、回収した服でリユースできないものを、自動車用防音材や高カロリー固形燃料(RPF)にして、資源の再利用を促進する活動を行っています。同社ホームページによると、「約22枚のTシャツ(約4.3kgの古衣料)が、裁断・反毛されたのちに、車1台分に使われる防音材にリサイクルされ、自動車のエンジン音や電気自動車の高周波を低減する」とのことです。ケミカルメーカーでは、たとえば帝人フロンティアが「全国の野外イベント会場で発生したごみを資源としてリサイクルする地産地消型」の仕組みを構築し、運用しています。

海外では、オランダにスタートアップのクロージング・ザ・ループがあります。同社は、アフリカ諸国で廃棄された携帯電話を、メタルを抽出する欧州の精錬所に販売するビジネスを展開しています。ガーナにある世界最大規模の電子廃棄場で、多発する有毒ガス発生による死亡事故をなくすために起業したとのこと。

ユニークなところでは、フィンランドのリパックがあります。但し、「使用可能な資源を廃棄物や副産物から回収して再利用」するものではありません。同社は、再利⽤できる包装袋を利用したデリバリーサービスを提供しています。ミディアムサイズの20サイクル使用時には、生産から廃棄までのCO2排出量を使い捨てプラスチック比で78%、ダンボール比で75%削減可能とのことで、現在、北米で事業を拡大中です。

デザインによる廃棄物ゼロと商品ライフサイクルの拡張については、次回に回したいと思います。



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市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...