9/03/2022

サーキュラーなアプローチ①

サーキュラーエコノミーでは、バリューチェーンが所謂従来のリニア/直線型から、サーキュラー/循環型に変わる(または変える)、これが前提です。バリューチェーンが循環型になるということは、通常、原材料の改変、資源の再利用、デザインによる廃棄物ゼロ、商品ライフサイクルの拡張のいずれかひとつ、または全てを適用することが必要になります。

これまでのサーキュラーエコノミー(CE)のブログで取り上げた事例などから、CEのビジネスモデルは、およそ次の6つに分類できるといえるでしょう。

(1)モノのサービス化、PaaS(Product as a Service)型のビジネスで、オランダのマッド・ジーンズ(サーキュラーエコノミー事例①)やシグニファイ(事例③)スウェーデンのエレクトロラックス(事例③)、米国のレント・ザ・ランウェイ(事例③)など、多数の参考例があります。

(2)消費や利用の共同化、広義に捉えれば所有から共有への転換を指し、シェアリングビジネスが該当します。モノや空間、移動に関するシェアが対象で、使用率の向上を意図しています。ステランティスが良い例といえるでしょう(事例③)。

以上2つは従来のビジネスモデルから大きな転換が必要です。というのも、顧客関係性のあり様に直結することから、(既存事業がある企業にとっては)現行事業とのバッティングにとどまらず、現行事業そのものも破壊しかねません。このため、取組みを実行するには、相応の慎重さが必要ですし、また、実行の難易度も高いものにならざるをえないと捉えるのが自然でしょう。

上記2つのタイプ以外では、(3)原材料の改変(4)資源の再利用(5)デザインによる廃棄物ゼロ(6)商品ライフライクルの拡張が挙げられます。なお、(5)は(3)に集約させることもできますが、デザインの重要性に鑑み、敢えて別枠で捉えるようにしています。

本ブログで取り上げた事例には、(3)はフィンランドのパプティックやアント・ブリュー(サーキュラーな国③フィンランドその2)ナイキ(事例②)などが該当します(4)は日本の着物、漬物、日本酒など(国②日本その1)を、まず挙げるべきでしょう。(5)はフィンランドのノッラ(国③フィンランドその2)ナイキアディダス(事例②、ベータ版どまり?)などが当てはまります(6)サルバトーレ・フェラガモやルイ・ヴィトン(事例②)が、古くから存在します。これら事例には、特徴的なものや、すでに我々がよく知っているものを取り上げるようにしましたが、言うまでもなくすでに多くものが登場してきています

(3)(4)(5)(6)全てに適応しているのが、和歌山の梅システムです(国②日本その2)。但し、より正確に言えば、適応しているというよりも、サーキュラーエコノミーの定義が後からついてきたということになるのだと思います。また、(3)(4)(5)に対応しているのが、エシカル・スピリッツ社のクラフトジンといえるでしょう(国②日本その3)。

サーキュラーエコノミーのビジネスモデル分類が、これでおよそできたといえますので、次は、これをどのように、各社が取組む際のアプローチとして「型」にしていくか。続きは、本ブログの次回以降で、述べていきたいと思います。


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