5/07/2023

サーキュラーエコノミー 6つのモデルと取組みアプローチ

サーキュラーエコノミー(CE)に取組むにあたり、CEは競争戦略であるということを前提にすべきで、検討に着手すれば、精度よりもスピードを徹底して重視すること。そして検討が一段落したら、速やかに実行に移ることが必要で、いつまでも逡巡しないことが重要です。つまり、

  • CEは競争戦略で椅子取りゲーム(3Rとして捉えない)
  • スピードが命、精度はほどほどに(外部環境は絶えず変化している、いきなり完成度の高いものを求めないこと)
  • タスクを洗い出し、即実行

以上を強く意識し、次に、以下の3点に注力します。

  • バリューチェーン上の無駄に着目する

  • 自社の強みを伸ばす、または弱みを強みに変えられるものを見つける

  • 製品ライフサイクルを評価し再設計してみる

検討段階では、まずバリューチェーン上の無駄(すなわちCEとしての価値創出機会が大きいところ)に着目し、自社の強みをさらに伸ばすことを優先して検討すること。これが難しいようであれば、弱みを強みに変えられるところを見つけることが良いでしょう。というのも、競争戦略では自社の強みを更に強くしていくことが通常、効果的だからです。

また、メーカーはもとより、サービス業であっても、必ず自社の製品(商品)ライフサイクルを見直し、再設計できるかどうか、その余地を探ることも非常に重要です。というのも、CEはサーキュラーつまり循環ですから、資源効率を高めて、その循環をビジネスとして成立させる、そのための開発と運用管理が肝になるからです。このためには、全体を俯瞰して考察することが重要になります。より川下(または川上)まで下りていき、メーカーとしての役割を超えた、謂わばサービスプロバイダー的な役割をも担うプラットフォーマー的なものの見方を、自社に組み込むことができるかがポイントになるのではないかと思います。

再度、記載します。CEの取組みを始めるにあたり重要なことは、事業活動の全体を俯瞰して検討することです。バリューチェーンの無駄を探したり、自社の強みや弱みを把握するためには、事業活動全体を包括的に見ることが必要となるからです。自身の思い込みは排除して、客観的に競合や業界等の現状や自社の立ち位置などを考察することが必要です。領域や機能毎に検討するのではなく、それぞれのつながりや関連性などを考慮しながら、検討を進めることが非常に重要です。

CE取組みのアプローチでポイントとなるのは、自社及び自社が属する業界を中心に、無駄が多い領域や機能、すなわちCEとして価値創出機会が高いと判断できるところを、まずは特定していくこと、これができるかどうかが最初の関門といえるでしょう。

アプローチ全体は、次のとおり3つのフェーズで捉えるのが適切です(サーキュラーなアプローチ②に記載したことと基本同じ)。

1. サーキュラービジネス機会の評価

2. サーキュラー戦略の策定

3. サーキュラー化の実行

3つのフェーズのうち、最初の「サーキュラービジネス機会の評価」が型を検討する上で重要であり、評価を的確に行うためには、次のような3つのステップで進めるのが良いと思います。

1.1 ビジネス機会の定義

  • 組織横断型チームの編成
  • 自社及び業界の無駄領域(Wasted Space/WS)の検討と選択

    • ブレーンストーミング①(範囲選出、タスク割振り等)

    • リサーチ(1&2次)、ケーススタディ作成

    • ブレーンストーミング②(ビジネス機会の検討、WSの選定・CEビジネス機会の選定)

2. フォーカスエリアの抽出

  • 選択したWS(無駄領域)に対するアイデアの創造
  • アイデア評価の基準設定
  • アイデアの評価と絞込み(市場の魅力度、自社戦略との適合性、技術含めた実行可能性、外部推進力との連携等可否検討、獲得価値、費用概算等)
  • 取組みの優先順位付け

3. フォーカスエリアの精査と特定

  • ビジネスケースの作成
  • 定量分析とリスク評価
  • クイックウィンの導出
  • ロードマップの策定
  • サーキュラー戦略の素案立案


仮に、これでは大掛かりになってしまい推進自体が難しくなるようなことが起こりそうであれば(ざっと見ていく、高い精度のものをはじめから求めないといようにすれば、大掛かりでもなく、推進自体が困難なものにはなりにくいかとは思いますが)、CE6つのモデルそれぞれに対して、自社での実行可能性を当てはめ、取組みの方向を素早く検討していくというやり方が代替案として挙げられます。

この場合は、自社事業と業界特性(当該業界における自社のポジショニング含む)、製品特性(たとえばサービス化の程度など)、製品デザイン、使用する原材料の特徴、製造プロセス、製品ライフサイクル、これらに加えエコシステムの可否、自社の企業文化と組織体制といったものを考慮しながら、より適切なモデルを選択できるようにしていきます。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...