8/07/2023

ツーリズム (4)デスティネーションプランニング ③プロセスiv

今回は、ストラテジックプランニング&マネジメント(SPM)の「2.5 戦略の選択」についてです。(SPM全体のながれは、こちらを参照してください。)

選択について、日本企業は決められない病に陥っているとしばしばいわれています。これについては、いろいろな書物でその原因や対策が書かれていますが、清水勝彦氏は、意思決定に関係する症状を決められない以外に、決めすぎ、決めたはず、決めっ放し、決めすぎ、があると述べています。それぞれに対する解決策の方針をやや強引かもわかりませんが括ってしまうと、危機感を共有する、考えて準備する、コミュニケーションをしっかり行う、結果を測定するといったものになります。

複数のよくできた戦略オプションから最良、最適なものを選択し、建設的な合意を得ることは簡単なものではありませんが、敢えてハイレベルでそのながれを記載すると、以下のようなものになるでしょう。

2.5.1 重点課題と論点の再確認

2.5.2 意思決定要素の設定と共有(合意)

2.5.3. オプションの比較・評価

「2.5.1 重点課題と論点の再確認」では、全体像を把握し、デスティネーションとしてこれから進むべき方向のベクトルを合わせることが、このタスクですべきことです。「2.3 戦略オプションの創出」でビジョンステートメントなどを作成していれば、2.5.1の重要なインプットになります。ここでは、WhatとWhyを明確にして、成功の定義をあらためて明らかにしておくこと(正確に言えば、明らかにしておいたものをここで再確認すること)が必要です。

ここで気をつけなければいけないことは、ステークホルダーによって、また同一ステークホルダーの中でも職位や立場が違えば、観点が異なってくるということです。何をしようとしているのかを再度確認する際に、2.3で合意形成がしっかりできていて且つそれがハッキリと書面化されていれば問題はほぼ発生しないといえるようにも思いますが、そうでなければあらためて様々な意見が出てくる可能性があります。

2.3のアウトプット次第ではありますが、そういった意見を排除することもできるでしょう。ただ、できれば膝を突き合わせて、相手が腹落ちするまで、徹底した議論をすることが、本来は望ましい姿です。筆者の経験でいえば、ビジョンステートメントで、皆が依って立つところを誰の目にも明らかにできていれば、その後のすすめ方を間違えなければ、手戻りや停滞などはほぼ発生させないようにできるといえます(実際、そのようにできました)。

2.5.1の論点には、戦略オプションのコンセプトオプション実現に係るコスト実現に向けたスケジュールなどが挙げられるでしょう。あと、地方自治体、デスティネーション固有の政策的判断(もしくは政治的要素)という要素が入ってくることだろうと思います。なお、ここでの論点再確認については、2.3で事前につぶしていることが基本のため、本来はそう細かいものが挙げられることはないと思いますが、もし2.3であまり詳細な事項を検討のテーブルに載せられなかったのであれば、ここでは細かいことまで全て洗いざらい出しておくほうが、後々もめずにすみます。一種のガス抜きの場と捉えてよいかもしれません。

長くなっていきますので、続きは次回とさせていただきます。


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