8/09/2023

ツーリズム (4)デスティネーションプランニング ③プロセスv

前回は、ストラテジックプランニング&マネジメント(SPM)における「2.5 戦略の選択」の「2.5.1 重点課題と論点の再確認」について述べました。

「2.5.2 意思決定要素の設定と共有(合意)」では、戦略オプションの賛成派と反対派から挙がった各論点の意味合いに基づいて意思決定の項目価値判断の基準不確実な要因を抜き出します。抽出作業は手間がかかりますが、時間をかけて論理的に、技術的に、時にはアーティスティックに行えば、必ずまとまりのついたちゃんとしたものになるはずです。仮に、論点が嚙み合わないようなことが、ここまでの段階である場合は、この2.5.2で一気に、まとめにかかったほうが、はるかに効率的で、建設的だろうと思います。不毛とも思える議論を延々とやっているよりも、ずっと生産的ですし、物事が前進していきます。つまり、対象を構造化して、全体像を見えるようにしていくことになるわけで、担当者の本当の力量が問われることになります。

ここで気をつけなければいけないことは、上述の意志決定項目、価値判断基準、不確実要因などに沿って論点を整理をする時は、これらの要素を階層化しておくこと、これが重要です。

ここでの階層化とは、戦略レベル、オペレーションレベル、タスクレベルなどにするという意味です。戦略レベルまたはその上位概念であるポリシーレベルで、検討の方向性が決まっていなかったとすれば、下位のレベルであれこれ議論しても仕方がありません。

たとえば、交通インフラの整備に係る費用がどれくらいかわからないにも関わらず、財源確保の方法や、発注方法を検討したり、ましてや外部専門家への協力依頼に要する費用などを決定したりすることはまったく意味がありません。財源確保や発注方法などは、下位のものとして位置付けるべきです。

上位が決まってこそ、下位を決めていくことができます。当たり前のことですが、意外と見落とされがち(?)なため、注意が必要です。また、上位でビジョンステートメントなどに抵触して検討対象外になったものがある場合は、その下位において、ひとつの事項をあれこれ議論することはありえません。議論がグシャグシャにならないようにすることが必要です。

「2.5.3 オプションの比較・評価」のやり方、意思決定アプローチの仕方には幾つかのタイプがあります。一つひとつを挙げてここで論じることは、本ブログの主旨を超えていくことになりますので今回は見送り、注意すべき点に触れて、終わりにしたいと思います。

比較・評価では、戦略オプションの内的整合性を検討することが極めて重要です。その際、当該オプションが既存または現行のものと大きく異なる場合は、不足する資産の獲得の仕方とその計画が必要になります。

決して忘れてならないことは、これまでと異なる結果を目指してオプションを考案してきたわけですから、当然のことながら、これまでとは異なる見方や考え方をもって判断をしなければいけないということです。

度々述べていることですが、従前と同じやり方や発想で、異なる成果を得られることはありません。特に、心理的なトラップ、思考の罠については必ずといってよいほど、判断の過程に潜んでいます。罠を完全に取り除くことは残念ながらできないように思いますが、罠の存在を認識し、回避するために注意を払うことで、賢明な選択への一歩につながることになると言い切れます。(思考の罠i罠ii罠iii罠iv罠v罠vi)


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...