前回(プロモーションの1回め)は、広告と販売促進(SP)について述べました。今回は、PR、人的販売、ダイレクトマーケティングについてです。
PR(Public Relations)は、通常はマーケティング部門に属さない機能で、日本語では一般的に、広報と訳されます(厳密にいえばPRと広報は目的や役割が少し異なります)。SNSが普及した今日、情報は双方向から多方向、多次元化しており、PRや広報を介しての包括的コミュニケーションの重要性が一段と増しています。
プロダクトや企業に対して好感を持ってもらったり、魅力を感じてもらうためには、優れたアイデアを生みだし、他者と的確にコミュニケーションができるビジネスパーソンが、これまで以上に求められているのは間違いありません。このようなことから、PRは今日では、プロモーション・ミックスというよりは、コミュニケーションミックスとして捉えたほうが適切でしょう。
人的販売は、メーカーなどのセールスパーソンや、小売業などの販売員などを指します。業種・業態によって、人的販売のやり方は異なりますが、営業/販売機会を把握し、その確度を評価して、事前準備をしながら、説明やデモなどで消費者(または法人企業担当者)に対応します。販売/成約、売り逃し/不成立、必要に応じてフォローアップというながれは、業種・業態を問わず、およそ共通しているものといえるでしょう。
ところで、商品をとおして人的販売を考えると、低価格のものは手間をかける必要はなく(営業/販売の活動量が少ない)、高価格のものは活動量が増えるということは必ずしも言えないことがわかります。というのも、相対的にいえば、高価格帯の商品ほど差別化しやすく、最寄り品のような低価格商品群については差別化が容易ではないという前提にたてば、差別化が難しいからこそ、人的販売で商品特性についてしっかり説明をしていく必要があるためといえるからです。
また、販売コストの観点からも、予め差別化がはっきりと出来ている商品に対しては、商品機能の専門的な説明を行う必要がある場合を除いて、活動をおもいきって減らすことができるとも言えるでしょう。なお人的販売については、プロモーションミックスの1つの要素として述べるには、あまりにも大きなトピックのため、別の機会で行いたいと思います。
ダイレクトマーケティングは、企業が消費者に直接つながるチャネルを利用してプロダクトを提供するマーケティング手法のことで、所謂D2C(Direct to Consumer)と呼ばれるものの1つです。これには、ECサイトをはじめ、eメール、ダイレクトメール、テレマーケティング、カタログ通販、TVショッピングチャネルなどが含まれます。
近年のファンマーケティングも、ダイレクトマーケティングの一種といっていいでしょう(但し、ファン同士がオンライン上で交流する場合のファンコミュニティは、企業が直接関わらない場合もあるため、ダイレクトマーケティングにはなりません)。
ダイレクトマーケティングの利点には、メッセージを消費者に合わせてカスタマイズしやすいこと、そのメッセージは即時的に伝達でき且つ相手の反応に合わせてアップデートできることなどが挙げられます。
ところで、千趣会やニッセンなどのカタログ通販の業績低迷が、10年ほど前から言われています。業績不振に陥った理由が、インターネットへの進出が遅れたためという論調をよく見かけます。一つの理由であることは間違いないでしょうが、それよりも取扱商品の内容や構成、その見せ方や顧客との接し方などが不振の根本原因ではないのかと思うのは、筆者だけではないでしょう。
ダイレクトマーケティングは、顧客との長期にわたる関係を築く上では、非常に優れたマーケティング手法です。営業パーソンを多数抱える費用は非常に高く、昨今の給与の上昇を考えると、ダイレクトマーケティングをもっと活用できないものかなどと筆者は思ってしまいます。業績が低迷している上記のような企業は、顧客の成長と共に、自らも大いに学習すれば、もっと成長できたのではないかと思えてしまい、残念な気持ちになってしまいます。
ここまでプロモーションミックス(広告、販売促進、PR、人的販売、ダイレクトマーケティング)のそれぞれについて見てきましたが、これらのプロモーションの組み合わせは、どのように決めればいいのでしょうか。次回は、プロモーションミックスをベースにして、効果的なコミュニケーションのあり方を考えてみたいと思います。