1/13/2026

ブランディング (7)マーケティングミックス⑤ プロモーションその1

マーケティングミックス4つめのP、プロモーションについてです。

プロモーションは、ブランディング (7)マーケティングミックス① 4P概論でも触れましたが、単なる販促と狭義に捉えるのではなく、プロダクトのメッセージをターゲット顧客に伝える全てのコミュニケーション手段として考えることが必要です。そのためには、広告セールスプロモーション(販売促進)PR、人的販売ダイレクトマーケティングという5つの要素を組合せたプロモーションミックスを効果的に行い、相乗効果を発揮させなければならないと、フィリップ・コトラーは『コトラーの戦略的マーケティング』のなかで述べています。


広告は、電波媒体(テレビ、ラジオ)、インターネット媒体/Webメディア(ニュースサイト、SNS、グーグル検索エンジン、企業サイト、ブログ等)、デジタル媒体(デジタルサイネージ等のディスプレイ、DVD/ブルーレイ、CD等)、紙媒体(雑誌、新聞、カタログ・チラシ等の冊子、ポスター、名簿等)の4つに大別できます。なお、媒体はメディアともいわれ、情報を対象者に伝達する手段の総称です。

20世紀の主力媒体は、誰もが知るように電波、特にテレビ広告でした。テレビ広告は、広く一般的に知ってもらうにはよい手段でしたが、ターゲットグループのみに訴えかけるということは通常できません。また、広告をしたからといって、大半のケースではすぐに売上げに直結するということもありません。デジタル媒体や紙媒体も、広告である限り、およそ同じようなものだといえるでしょう。

インターネット媒体については、電波媒体などと違って、ターゲット層にアプローチしやすく、費用が比較的安価で効果も得やすい上、データ分析も容易だといわれています。ただ、今日のような情報が氾濫している状況で相応の効果を得るのは、それほど簡単なことではないでしょう。一過性で終わらせずに続けられるかどうか。SNS上での話題づくりに成功して、一時的に売上げを上げることができたとしても、持続的な事業成長につなげられるかは、また別の問題です。プロダクトの購入/利用前に、ファンになってもらったとしても、継続してファンの期待値を超える、またはコントロールすることができるかどうかは、非常に難しい問題です。


セールスプロモーション(SP)は、広告と違い、消費者に直接的な行動を促すため、即時的な効果が見込めます。けれども消費者向けのSP、特売をいつも行っていると、通常価格と割引価格の違いが消費者には分からなくなるのは当然です。その結果、消費者はいつでも安い価格で商品が購入できると期待するようになります。そのためどのような消費者を相手にすれば、SPの効果をより高くできるのか、慎重に検討しなければなりません。

ここで重要になるのが、参照価格(ブランディング(7)マーケティングミックス③ 価格その11)と商品カテゴリーの関係です。ターゲット消費者の当該商品カテゴリーにおける購入サイクルを把握することが必要になります。仮に購入頻度が2ヵ月ごとであれば、毎週のようにSPをやっても効果は得られないばかりか、参照価格の低下を招くことになり、まったくの逆効果になってしまいます。通常、小売店舗内のSPは、ブランドスイッチを頻繁に行う消費者には大きな効果が見込めるため、店内チラシにクーポン付きで載せるなど、ターゲットを絞った工夫が必要です。

小売流通業向けのSP、所謂拡販費・協賛金の効果については、筆者が知る限り半世紀近く前からある懸案事項です。拡販費を投入すれば短期間で売上げを上げることはできますが、あくまでも期間限定の取組みに過ぎません。大事なことは、製販共に年間とおして安定的に売上げを確保することです。そうするためにはプロモーション全体におけるSPの割合は低めにおさえるべきで、価格が予め設定した価格帯の下限値を下回ることがあってはなりません。


ところで、広告及びSPと価格の関係はどのように捉えればいいのでしょうか。四半世紀以上前から米国を中心とした研究でよく知られていることは、比較的安価な消費財製品、たとえば食品関係であれば、量販店やコンビニなどで売られている即席麺や菓子類、冷凍食品、清涼飲料水やビールなどのアルコール類といった高頻度で購入されるもの、所謂最寄り品(ブランディング (7)マーケティングミックス③ 価格その3)は、広告によって販売数量が増えるということです。つまり、広告が商品の需要における価格弾力性を大きくしているということです。

従って、シンプルに考えれば、広告を増やすことで、低価格商品の販売量は増やすことができるということになります。考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、高価格帯の商品であれば試し買いというのはなかなか難しい一方で、低価格帯のものであれば試してみるというのは十分ありえるからです。

そうなると、最寄り品については広告をすることを前提に、SPをいつ頃、どれくらいの頻度で、どういったチャネルを使って、どのように提供していくのかということが、買回り品や専門品以上に、重要になってくるといえるでしょう。但し、最寄り品とはいえ、明らかに他の商品とは異なり、差別化が効いたものであれば、広告をそれほど打たなくても、SPをうまくやるだけで販売量を増やせるかもしれません。というのも、明確に差別化された商品というのは、広告をたくさん出して、他商品との違いをあえて訴求する必要はないといえるからです。成熟しきったような商品カテゴリーでは、決して容易なことではありませんが、不可能なことではないと思います。

次回は、PR、人的販売、ダイレクトマーケティングについてです。


ブランディング (7)マーケティングミックス⑤ プロモーションその10

今回は、コミュニケーション開発を効果的に行うための8つのステップの5番目と6番目についてです。4番目までのステップ については、以下をご覧ください。 1 「 市場の理解とターゲットオーディエンスの明確化 」 、2 「 コミュニケーション目的の設定 」 、3 「 コミュニケーション...