1/23/2023

問題解決力 (1)はじめに 全体のながれ

21年秋にデジタル庁が発足し、デジタル化は官民挙げての取り組みになりました。ですが、相対として成果が多数でているとはいえないようです。そのためか、国内では今、リスキリングが声高に叫ばれています。

デジタル化に直結するプログラミングをはじめとしたIT関連スキルは勿論重要でしょう。データ分析/統計解析や、マーケティングなどのスキルも需要が多いとききます。ただ、デジタル化は目的ではなく、経営などの課題を解決する手段ですから、課題を特定したり、そもそも問題が何かを見極めたりすることがまず必要です。実際、これなくして、習得したスキルを職場で活かそうとしても、そこでの根本的な改善や業績の向上といったことにはつながらないのは明白です。

職場にはたくさんの問題がありますが、本質的な問題を見つけること、これが何より重要です。誤った問題提起に基づいて、解決策を考え、実行に移すことほど、組織を疲弊させることはないといえるでしょう。解決すべき問題自体が間違えているわけですから、問題を根っこから解決することなど期待できるはずがありません。

問題解決は、次のような3つのながれ(プロセス)で考えるのが適切です。

1. 問題とアプローチを考える

2. 問題を解く

3. 結果をまとめて説得する

詳しくは、次回以降の本ブログで述べていきたいと思いますが、その前に、問題解決で必ずおさえておかなければいけない重要なポイントを3つ、ここで触れておきます。

第一に重要なこと、そしておそらく最も重要なことは、目的やゴールに沿って、問題を考えるということです。何に対する問題なのか。また、誰の(またはどの部門の)どういった立場で問題を考えるのか。それによって、問題そのものの見つけ方や捉え方が変わってきます(論理的思考(3) 問題を見つける①)。それ故、はじめに、問題に向き合うにあたり、その主旨や意図を考え、はっきりさせておくことが、非常に重要となります。

別の言い方をすれば、的確な問題の発見/定義なくして、問題の解決にはつながらないといえます。ましてや、自分の周りから見てとれる現象だけを捉えて、即、解決策をだすということはあってはなりません。たとえば、売上げが低迷しているから販促費をもっと投下しようというのは、その典型といえるでしょう。過去の成功体験や経験則にのみ頼って打ち手を考えるのではなく、事実を見つけ、積み上げていく。思い込みを排除して、論理的に考えていく。問題を深堀して、要素を分解/構造化していくことが必要です。(論理的思考とは①論理的思考とは②)

次に重要なことは、定義した問題の解決策を考える時は、必ず取組みの優先順位付けを明確にすることです。問題は複雑に絡み合っていることが多く、大半の場合、取捨選択が必要になります。全ての問題を濃淡つけずに、片付けようとするのは、あまりにも非現実的です。人・もの・金・時間などの経営資源は有限ですから、その配分は戦略的に行わなければなりません。また、優先順位づけることで、社内外に対して、該当する問題の重要性や、当該担当部門(または会社)の意志などをはっきりと示すこともつながります。

なお、取組みの順序は、取組みがやりやすいものからではなく、インパクトの大きさや、リスクの程度、関係者の権限や責任、能力、職場の力学や癖、組織文化、リーダーシップなどを考慮します。問題の緊急性重要性と、立案した解決策の実行可能性や難易度、解決に要する時間などで決定することになります。

3つめに重要なことは、3つのプロセスをひとつのセットで捉えること(考える~解く~説得する、以上が1セット)です。問題解決は、この3つ全てを時間を空けず一気通貫でやらなければ成功はしませんし、また、意味がありません。

ビジネスパーソンにとって最も重要な能力は、問題を解決する力だと筆者は思います。問題解決力を磨いていくためには、まずは自分の頭で考えてみること、問題解決の第一歩はここから始まるといっていいでしょう。そして、考え続けること。問題だらけの世の中ですから、職場などは言うに及ばずです。問題解決力を習得し、実践に活かす。そして、また更なる習得・向上を果たし、それを再び、実際の問題解決に適用させていく、つまり実践する。こういった観点では、職場はまさに問題解決を実践する宝庫です。今すぐにでも、いろいろなタイプの問題に、向き合うことができます。

ところが、コロナ禍が長く続いていることもあってか、問題を解決する能力はおろか、問題に向き合おうとさえしない、或いは問題を回避する、もしくは問題を決めつける、または誰かが言ったもっともらしい問題と解決策に同調するというような傾向が、以前にも増してますます強くなっていると感じます。更にいえば、問題はわかっているにも関わらず、何もせず放置する。2010年代半ばくらいからでしょうか、日本人なら誰もがその名を知る大手企業でさえ、そういうことが散見されるようになりました(大手企業だからなのかもしれませんが、そういう会社は幾つもあります)。人手が少なくなり、各人の職務に余裕がなくなったというようなことだけでは説明がつきません・・・。

このブログReflectionsは昨年の2月から始めました。その5回目でも触れましたが、今の世の中、はじめに感情が来て、それだけで判断してしまうといったことが非常に多くなっていると感じるのは、もはや筆者だけではないでしょう。我々の日常生活でもそうでしょうが、ビジネスであれば尚更、「感情」は結論を出したあとにすべきです。

つまり、はじめに「事実」、次に「論理」、その後に「結論」、このながれを崩さないようにすること。感情はその後に表すことが重要です。今の時代こそ、まさにこういった思考法や考え方が必要とされていると筆者は強く思っています。(論理的思考とは①)

このようなことですから、リスキリングがブームになりつつある今、あらためて問題を解決することについて、真正面から取り上げてみたいと思いました。問題解決は奥が深く、また、難解なものになりがちですが、できる限り体系的でわかりやすいものにし、述べていくようにします。

問題解決こそ、頭を使って考える知的作業です。昨今、転職は珍しくなくなりましたが、問題解決力を正しくデモンストレーションできれば、年齢を問わず、異業種への転職なども難しくないでしょう。応用はいくらでも効くはずです。

次回は、問題を定義することから始めます。Reflectionsの「論理的思考」における「問題を見つける」で記載した内容と、どうしても重複するところがでてしまいますが、この点はどうかご了承ください。


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市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...