4/01/2024

SMM (2)サービスの構成要素 ①コアサービスと補完的サービス

サービス企業が顧客に魅力あるサービスを提供するためには、サービスを供給する環境、サービス提供者が活動する空間全てを、ひとつのパッケージとして見立て、全体をマーケティングしマネジメントすることが重要です。何故ならば、その各要素が、顧客の期待と満足に直結するからです

サービスは、コアのサービスと補完的なサービスの2つに区分されて議論されることがよくあります。 

コアサービスとは、サービスの中核をなすもので、顧客の主要ニーズに応えるベネフィットだったり、顧客の主だった関心事や問題に対するサービスの打ち手のことを指します。旅客/貨物輸送であれば安全で遅延のない移動、レストランであればおいしい食事、ホテルであれば安全で快適な滞在といったものが該当します。

補完的サービスとは、コアサービスに付随するものをいいます。たとえば、旅客輸送の場合であれば機内食であったり、搭乗時の応対に係るサービス、機内で視聴できる映画や音楽、フライトの予約サービスなどが該当します。ホテルであれば、レストランやルームサービス、フロントやコンシェルジェデスク、ランドリー、ポーターサービス、PCやプリンターなどの貸与、アスレチックジムやスイミングプール、TVビデオ音楽、駐車場、アクセスの良さなど、当てはまるものが多数あります。

サービスは、物のような所有権の移転が起こらず、利用したり、体験したりするものです。たとえば、食品スーパーの野菜売り場でじゃがいもを購入すれば、有形物であるじゃがいものの所有権を得ることになります。じゃがいもを使ったポテトチップスを購入しても、所有権は移転します。

ところが、レストランでじゃがいもを使った料理、たとえばジャーマンポテトを食べても、通常それはその料理を所有するという意味にはならないでしょう。シェフが選んだ材料に調理技術を施して仕上げた料理をはじめ、それを盛りつけた皿や、テーブル、いす、店内の照明など料理を食する空間、料理を運ぶ人など、そういったもの全てを含んだものに対して代金を支払います。 このようにサービスには、有形無形を問わず、サービスが提供される環境全体、そこでのサービスパフォーマンスに関わる全ての要素が含まれます

サービスを構成する要素を考える時、研究者の間で若干の相違があります。一つには、上記にあるようなサービスが提供される環境全てをサービスプロダクトとして扱う人たちと、サービスプロダクトをおよそコアサービスに限定する人たちです。本ブログでは、後者の立場をとり、話をすすめていきたいと考えています。

その最たる理由は、全てをプロダクトとして扱うことにした場合、サービスビジネスの問題などをフレームワークを用いて考察したり、問題解決の優先順位付けやアプローチなどを検討することが、少々難しくなると思われるからです。もう少し詳細にいえば、検討すべき事象がわかりにくくなったり、論点が混乱しやすくなるなど、考察にモレやダブリ、或いはズレなどが発生しやすくなるからです。

このため、本稿では、サービスは、サービスプロダクト、モノプロダクト、サービスデリバリ、サービス環境の4つで構成されるものとします。次回は、各要素について述べていきたいと思います。

(4つのサービスカテゴリーについては、(1)サービスの種類と特性 ①サービスの定義と4つのカテゴリーを、ご覧ください。)


ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目

ターゲティングは、はじめにセグメントした市場を評価し、次に 自社が競争に勝てそうなセグメント、或いは攻めるに値するセグメントを特定するというステップで進めます。 セグメントを評価する項目には、以下のようなものが挙げられます。 市場要因  (セグメントの規模、セグメントの成長率、価...