2/05/2024

ブランディング (2)ブランド用語③ パーパスブランディング

ESGs、サステナビリティ、脱炭素、サーキュラーエコノミー等々、気候変動に対応した経営、また、CSV(Creating Shared Value/共有価値の創造)経営が、今日求められています。世の中が変わりつつある以上、企業や事業体も経営やオペレーションの変革を進めていく必要があります。

ブランディングについても、従前のやり方に加え、新たな視点を取り込んで行うことが重要です。近年、パーパス経営という言葉をよく耳にします。パーパスはご存知のとおり、目的とか意図といった意味ですが、ビジネスでは存在意義という意味で捉えられています。

パーパスとは、社会に対して、どのような存在意義を示して、どういった面で社会に働きかけていくのか、貢献するのかということを表し、パーパスステートメントはこれらを記述したもの

ストラテジックファクターズのグラハムケニーは、パーパスステートメントは、通常、顧客に向けたものであり、ステートメントの意義は顧客を単なる取引の相手としてではなく、関係性を築くものとして捉える要素を組織に加えるものとしています。

ケニーは、パーパス、ミッション、ビジョン、バリューの違いを次のように述べています。ミッション、ビジョン、バリューといった方向性を示すステートメントの大半は、組織そのものを中心に据えている一方で、パーパスは組織を外から見つめて、事業が人々の暮らしにもたらす違いを考えるもの。

ミッションとは、通常、事業者の存在目的と事業を表現しているもののこと。存在目的はやや抽象的なもの、事業は具体的な部分となり、この2つが合わさったものがミッションステートメント(参考: ツーリズム(5)マーケティングプランニング②プロセスi)

ビジョンは企業や組織のなりたい姿を指し、漠然とした思いや夢を語るものではななく、望ましいのは5年後や10年後といった時間を区切ったもの(参考: 新規事業創出 (1)イントロダクション)

バリューとは、組織が最も重要と考えるものであり、組織構成員の行動や考えを司る価値観や原理原則といったもので、ビジョンの根幹にあるものがバリュー(参考: 新規事業創出 (2)ビジョン①)

上述に沿ってパーパス・ブランディングを考えると、次のように捉えることができるでしょう。

パーパス・ブランディングとは、社会における自らの存在意義を、組織の内外に認知してもらい、多くの共感を獲得していく行為を指し、コーポレートブランドの範疇に属するもの

このブランディングに関するブログは、主にプロダクトブランドを対象に記述していますので、パーパス・ブランディングについて、詳細に述べることは割愛させて頂きますが、プロダクトブランディングを考える上でも非常に重要な概念であることには変わりありません。

パーパス・ブランディングは、製品/商品開発活動においては、ポジショニング戦略を考える上で、前提となる重要な概念です。従来のブランディングが顧客のイメージをコントロールしていく側面が強かったのに対して、パーパス・ブランディングは顧客に行動を起こしてもらおうとする要素が強いといえ、これはまさにインターネット社会だからこそ実現できる考え方です。

パーパス・ブランディングでおそらく最も重要なことは、社会に対して提示した自分たちの存在意義、思い、思想といったものに対して、共感してくれる人たちが、自分ごととしてそのストーリーを創りだしていく、そういった仕組みをデザインしていくことといえるでしょう。


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