3/23/2022

脱炭素経営の取組み (1)はじめに①

新型コロナが収束(または社会と共存)していくことに伴い、脱炭素の議論や取組みが、なお一層強まることは間違いありません。資源高という逆風は一時的にあるかもしれませんが、我々は、(信じようが、しまいが)気温上昇による気候変動リスクに向き合わざるをえないのです。

脱炭素に向けて、日本は2050年にカーボンニュートラル、即ち「脱炭素社会の実現」を表明しました(20年10月の菅首相所信表明演説、所謂「カーボンニュートラル宣言」)。宣言の経緯に鑑みれば、ゼロ化の時期は早まることはあっても、先延ばしになることは考えにくく、また、その過程において、社会・産業の構造や仕組みが大きく変わる可能性も否定できないことから、事前の備えをしっかりしておくことが肝要です。また、その際、脱炭素をリスクとして捉えるのではなく、自社のビジネスに活かしていくというプラス思考でのスタンスでのぞむことが重要だと思います。

ところで、カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを表します。環境省の脱炭素ポータルでは、排出ゼロの意味を、「二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること」とし、温室効果ガスの排出量削減に加え、吸収するものについても強化する必要性があるとしています。

その温室効果ガスには、二酸化炭素はじめ、メタンや一酸化二窒素、代替フロン類4種、計7つが、地球温暖化対策推進に関する法律で定めらています。この7つのうち、最も排出量が多い温室効果ガスは、二酸化炭素、次にメタンとされています。気象庁によれば、2010年度で二酸化炭素が温室効果ガス排出量の76%を占めると発表しました。また、JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)では、その割合が2018年度で91.7%としています。

データは計測の仕方や分析手法の用い方などによって、結果に違いが生じるため、どちらがどうとは一概には簡単に言えませんが、いずれにせよ、二酸化炭素が温室効果ガスでは多くを占めているというのは間違いありません。実際、二酸化炭素を排出する人間の世界人口は、2020年で約78億人、1970年はその半分の37億人だったことからもうなずけるのではと思います(国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集 表1-9 世界人口の推移と推計)。

では、二酸化炭素は(人間以外で)どういうものから出されるのかといえば、電気、ガス、ガソリンなどであり、2019年度の家庭からの排出量は、各割合が電力で45.1%、ガスは22.7%、ガソリン25.1%となっています(JCCCA 家庭からの二酸化炭素排出量)。

以上のようなことから、二酸化炭素で電力が、カーボンフリーを考える時に、真っ先に話題に上がる理由だろうと思います。また、実際、我々の生活者の視点で捉えても、二酸化炭素と電力が、最も身近な存在だからともいえます。

今回は、いつもより少し短いですが、区切りがよいため、これで終わりとし、次回の「脱炭素経営の取組み」ブログへつなげたいと思います。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...