3/29/2022

脱炭素経営の取組み (1)はじめに③

脱炭素の範囲について、まだ馴染みがないという方は、こちらのURL(環境省・経済産業省のグリーン・バリューチェーンプラットフォーム)にある絵をご覧ください。

範囲は自社と他社に区分され、前者はスコープ1(直接排出)と、2(間接排出)、後者はスコープ3となります。なお、ここでいう自社とは、自身の会社だけを指すのではなく、グループ企業を含み、グループ全体の本社や、子会社などのオフィスビル、工場、社用車等々が入ります。

スコープ1は、燃料使用量を指し、自社の敷地内で直接排出される温室効果ガスの排出量が対象です。スコープ2は、他社から購入したエネルギーを自社の敷地内で使用することによって排出される温室効果ガスの排出量を指し、電力使用量などが該当します。(温室効果ガスはCO2に換算)

前回の脱炭素ブログでも触れましたが、2050年のカーボンフリーに向けて、まずすべきことは、二酸化炭素に関係する活動量か、排出係数を計画的に下げていくことですので、最低限、数式はおさえなければなりません。(数式は、各スコープについて記述するブログで記載予定)

スコープ2は、3つのスコープの中で最もシンプルに捉えることができます。自社の間接排出であるエネルギー(電気、熱、蒸気)は、調達先のエネルギー会社が排出するCO2係数を、使用するエネルギー量に掛け合わせることであり、スコープ1よりはずっと手間取りません。といっても、電気の場合は、調達する電源(火力、石油、石炭、天然ガス、原子力、太陽光・風力・水力・バイオマス等の再生可能エネルギー)を、費用対効果含め、いろいろ検討し始めると、そう簡単なものともいえない側面はあります。

スコープ1は、工業プロセスや、製造設備などでの燃焼から生まれるもの、焼却炉から排出されるものなど、自社から排出されている温室効果ガスが対象です。但し、工業プロセスについては、JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)によると、「セメントの焼成キルンなどで石灰石を加熱することにより二酸化炭素を排出する生産工程のこと」を指すとしているため、大半の企業は工業プロセスにおける温室効果ガスを意識する必要がないといえるでしょう。

スコープ3は、自社(自社グループ)に関係する企業・サプライヤーや、顧客全てが関係してくるため、時間がかかる上、何かと大変です。それぞれに対して基本的にはヒアリングなどをとおして確認する必要があります。サプライヤーは上流、顧客は下流に該当し、15のカテゴリーに分類されます。スコープ3は、企業規模にもよりますが、相応の時間をかけて可視化せざるをえないため、排出量の大きいカテゴリーのあたりをつけて、まずはそこから着手するとか、効果が大きそうなところを狙い撃ちするなど、取組みに濃淡をつけることが重要です。一から全てを詳細に可視化していくといったやり方は現実的ではありません。

このように考えてくると、日ごろからの問題認識や仮説、なによりビジョンやバリューとの関係を強く意識した取組みにならざるをえないといえます。この数年来、盛んに使われている言葉でいえば、パーパス(存在意義)経営に沿った取組み推進が不可欠になってきます。

こうなってくると、経営陣は脱炭素に対する自社の見解やメッセージを積極的に発信していくことが求められてきます。自社の進むべき方向やあり姿と、現在のギャップを埋めるためのトランスフォーメーション、各部門の変革が必要になるはずです。そう考えていくと、脱炭素経営の取組みを、CO2フリーにすることをゴールとするのか、またはCO2フリーはあくまでも手段的な位置づけとし、真の狙いは新しい社会・産業に適応できるようにするための自社の変革とするのでは、描くロードマップの中身が変わってくることになります。ましてや、自らが新しい社会・産業の担い手になる、主導するという決意であれば、尚更であるのは言うまでもありません。


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