3/28/2022

脱炭素経営の取組み (1)はじめに②

何事も取組みをすすめる際、ゴールを設定することは必須であり、その達成過程や行程を明確にすることが重要です。取組みのゴールやマイルストーンがない企業は、率直にいって一流とはいえません。会社の規模や歴史などは関係なく、漫然と取組みをすすめる会社が少ながらず存在することは残念な限りです。ただ、脱炭素の取組みでは、ことさらそういった会社の重みのようなものは通用しないばかりか、障害にさえなりえます。何故なら、ゴール(2050年のCO2ゼロ)が予め決められているからです。

温室効果ガスを2050年にゼロ2030年に46%削減するために、エネルギー源の転換、製造プロセスの改革/改善、ライフサイクルアセスメントによる製品の改革、工場・オフィス棟の省エネ推進、輸配送の見直し等を実現する必要があります。

このような事業活動の広範囲にわたる取組みを、長期間行い続けるには、ロードマップを策定しなければ、方向感や継続性を維持することができません。実際、経営上、大きな決断を伴うことがありえるため、前もってそれに向けた準備も必要となるでしょう。また、日々の業務改善の積み重ねの結果が、イノベーションにつながることも十分に考えられ、行動計画の修正が必要になることも想定しておくべきです。変化対応できる企業こそ、最も強い企業といえます。

脱炭素実行に向けたロードマップには、少なくとも3つのポイントを盛り込むことが求められています。

①2030/2050年目標値と整合性のある数年毎のCO2排出上限値
②再エネ・原子力・火力の目標比率達成に向けた調達エネルギー転換の仕方
③上記①と②の進捗を測定評価するKPI

上記を踏まえたロードマップをすでに策定された企業は少なくないと思います。ただ、CO2削減に影響を与える変動費の中身を細かく分解して把握している企業は、まだそれほど多くないのではないでしょうか。まずはマイルストーン的なものをざっくり引いてからというところが多数を占めるのではと思います。ですがご存知のとおり、しっかり可視化して、優先順位をつけながら、削減すべきところの当りを具体的につけておかないと、現実的に進めることが早晩難しくなるのだろうと思います。

(言うまでもないことですが)経済と環境の両立に向けた脱炭素の取組みで、まずすべきことは、二酸化炭素に関係する活動量か、排出係数を下げていくこと(どちらか片方、または両方とも)です。ですので、そのためには、モニタリングできるよう基盤を整備し、且つ何より、方向を定める前に現状を見る・見えるようにすることが必要であり先決でしょう。但し、全てを完璧にするというのでは決してなく(実際、そのようなことはできません)、できるところから、或いは効果が大きく見込めそうなところから、まずは着手し、改良を加えながら、範囲を広げる、精度を高めていくということが重要です。可視化をするなら、徹底して正確に行うというのは、脱炭素の取組みには関しては適切ではありません。

余談になりますが、新しいことや、まだよくわからないことを始める時には、このやり方(大掴みで全体観を把握、当りをつけながら前進し、改良を加えていくこと)が最良です。ざっくり捉えて、先へ進めていくことが、何より肝要なのです。ここを間違えると、頓挫したり、あらぬ方向に行ってしまったり、時間ばかりかかってしまい、結局、木を見て森を見ず、というようなことになってしまうため注意が必要です。

次回の「脱炭素経営の取組み」ブログでは、CO2削減対象の範囲(SCOPE1,2,3)について、触れていきたいと思います。


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